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真剣で覇王に恋しなさい!
第4話
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ら武神と戦うなんて真似はしたくない。だから俺は仕方なく、少しだけ脇にどきながら口を開いた。

「そうか。だが今日は既に俺との先約がある……だから、今は自己紹介くらいにしておいてくれないか?」

「んー……ま、仕方ないか。下手な事をして清楚ちゃんにも嫌われたくないしな」

「すまないな」

 あっさり引いてくれたが、どうせ明日からもお茶に誘うつもりだろう。
 まぁ、俺だって仲良くなるななんていうつもりは毛頭ない。
 今回は川神百代から感じる邪気が凄まじく、セクハラでもしかねない勢いだったから止めただけだ。
 普通に仲良くなって、普通に友達同士でお茶をするというのなら、何も問題はないのだ。

「でもな」

「……なんだ?」

「お前にはそのうち私と勝負してもらうからな? 正体がわからないくせに、お前はなかなか面白そうだ」

「いつかそのうち、な」

 そんな約束を取り付ける事になってはしまったが、百代はちゃんと大人しく清楚と話し始めた。
 つい熱くなってしまったが、こうして丸く収まったのならそれで良しだ。
 俺は清楚たちから少し離れた場所で黙って待つ事にした。
 ……その際聞こえた清楚の声には俺の非礼を謝るような声もあったが、百代は全く気にせずに話し続け、それにつられるようにして清楚も笑顔へと戻った。
 俺のやった事は何もかも取り越し苦労だったんだろうか。今更ながらそう思えてきたがどうにもならない。
 思わず、ため息が口からこぼれ出た。

「はぁ……」

「そんなに落ち込む事はありませんよ。随分と様になっている啖呵でした」

「……さっきからいたようだが、名前は?」

「葵冬馬です。傷心のあなたを慰めようと思いまして」

 褐色眼鏡の男子生徒、葵冬馬はすっと顔を近づけながらそう言った。
 どういう意図だか知らないが、とりあえず葵を腕で遠退けながら俺も口を開く。

「慰めなんていらんぞ」

「そうですか?」

「あぁ。俺はそんなに柔じゃない」

「それはそれは。とにかく赤戸さん、これからはぜひ親睦を深めていきたいですね」

「勝手にしてくれ」

 俺は三年だが、義経たちがこのクラスにいる以上はそれなりに関わることも多いだろう。
 だからそういう時にそれなりに仲良くなってくれ、としか俺は言えない。
 ……その後、百代と清楚の会話が終わって俺達が教室を後にするまで、俺は葵と何故か絡んでくる榊原をあしらいながら教室を眺め続けた。



「もう! あの時は本当にびっくりしたんだからね」

「すまない」

 学校から帰宅し、夕食も済ませた後。
 俺は清楚に向かって深々と頭を下げていた。
 言うまでもなく、百代に向かって勝手な事を色々言った件である。


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