第2話
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れるのも嫌なので、ちゃんと誰にも見られない位置から。
そうして即座に屋上へ辿り着いた俺は、寝転がってブツブツ言っている与一を担ぎ上げた。
「うぉっ!? おいおいいきなりすぎるだろ柳司ィ!?」
「お前の扱いは心得ているんだ。これが一番早く済むだろう」
「そうじゃねぇ! だいたいだな、あんたは昔っから勘違いを――」
「わかっている。心配するな与一、ここの生徒たちは皆優しいようだったからな。俺もお前もきっと上手くやれるさ」
「だから――」
未だに文句を言う与一の発言を聞き流し、俺は急いで全校集会を行っているグラウンドへと戻った。
そこではいなくなった与一の事を義経が謝っているところだったので、急いで与一を壇上へと連れて行くことにした。
「すまない待たせた」
「あっ、与一! ありがとう柳司先輩! 与一を連れてきてくれたんだな!」
「まぁな。あとやっぱり先輩というのはむず痒いんだが」
「みんな! 与一を紹介するぞ! ちょっと遅れたけど、本当は皆と仲良くなりたいはずだから!」
「…………」
義経はぐったりした与一を紹介し始め、既に俺の声は聞こえなくなったようだった。仕方が無いので一歩下がり、清楚の横に立ってその様子を見守る事にした。
そうしていると、いつのまにか清楚が俺に向かっていつも以上に優しい笑顔を浮かべていた。
「ありがとう柳司くん。義経ちゃん、すごい喜んでるみたい」
「見ればわかるさ」
「いつの間にかみんなのお兄ちゃんだね」
「そういうのは俺には似合わないと思うけどなぁ」
清楚の他愛の無い会話をしている間に与一の紹介も終わり、一区切りが着いた所で俺は小声で弁慶に話しかけていた。
どうしても気になる事があったからだ。
「聞いてくれ。俺は自己紹介の時、生来の悪人顔だから清楚の後だと大顰蹙を買うと思ったんだがなぜか歓声が上がったんだ。どう思う?」
「……ねぇ柳司、それ本気で言ってる?」
「昔与一となんかの映画を見た時にそっくりだと言われたぞ」
「悪人っていうかマフィアの若頭とか暗黒街の顔役みたいな? 少なくとも不細工じゃあないよ」
「悪人とマフィアとどう違うんだ?」
「どっちもでもいいでしょ。人気はあるみたいだし」
……まぁ、確かに問題が発生しているわけではないのだが。
なんとなく釈然としないというか。
「まぁ柳司は柳司らしくしてればいいでしょ……はー、美味しい」
やはりからかわれているんだろうか……
俺がついつい悩み始めてしまった所で、弁慶は腰に提げたひょうたんから川神水を皿に注いで飲み始めた。
川神水はノンアルコールなのに酔えるという不思議な水で、生前の弁慶が酒好きだったこ
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