第一部 川神学園
第1話
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!」
「ふぁーあ、おはよ」
源氏組の二人、義経が元気そうに、弁慶が眠そうに挨拶してくる。
何か引っかかる単語が聞こえたが、別にいいだろう。
「よう。また徹夜したみたいだな」
「わかるのか与一」
「俺の力を以ってすれば容易いさ。夜に魅入られると戻れなくなるぞ。気をつけろ」
源氏組唯一の男、与一は俺に挨拶しながら徹夜を言い当ててきた。なんだかんだで気が回る奴で、俺が徹夜した事を心配してくれているらしい。
言い回しは非常に気になるが、いつもの事だ。
朝食を取る前、俺は自分の席に座る時にさっきから気になっていた事を義経に聞いてみた。
「先輩って?」
「今日から学校では二人は先輩になるんだ。その方がいいと思って」
「肝心の清楚はどう思う?」
「私は別にどっちでもいいよ?」
「……まぁ、今はまだいいと思うけど、義経がそう呼びたいならそれでいいって事だな」
正直言って俺は慣れないんだが、確かに学校で普通に呼ばれても規律としてみれば問題なのかもしれないしな。
俺の思考がそんな風に脇道に逸れ始めたところで、弁慶が俺に話しかけてきた。
「柳司も先輩って呼ばれたい? ほらほら、柳司先輩、みたいに」
「……やめてくれないか」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないし」
具体的には言えないが確実に減るものはあると思う。
弁慶は子供の頃から事あるごとに俺と与一を弄ってきたため、俺にとっては若干の苦手意識がある女性である。
ふと弁慶に俺以上に弄られている与一の方を見るが、与一はこっちを完全スルーでフォローしようともしない。やれやれである。
しかしこれから学年が別れれば同じ教室の与一ばかりが弄られるようになるのだ。そう思えば、今こうしているのだって仕方の無い事だと思えてくるから不思議だ。
与一の無事を祈ろう。
朝食の後。
川神学園へと向かう途中で、突然清楚に腕を掴まれた。
そのあまりの力の強さにいったい何事かと思ったが、どうやらただ握手をするために掴んだらしい。
ぐっと握手をした状態で、俺は真正面から清楚に言われた。
「それじゃあ、これから改めてよろしくね」
「あぁ、こちらこそ」
そう言って、握手したままの手を軽くシェイクする。
俺達の、初めての学園生活が、始まろうとしていた。
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