第百三十四話 信行出陣その十二
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
後詰は戦の用意を整えている。
「紺の軍勢が東より来ています」
「それではじゃな」
「戦ですな」
「うむ、皆の者よいな」
羽柴は後詰の者達に言う、皆自ら名乗り出て残った生きて帰ると誓っている者達だ。その者達に言ったのである。
「これから戦になる」
「そしてその戦で」
「いよいよですな」
「そうじゃ、功を挙げるぞ」
黒田と細川にも確かな笑みで返す。
「思う存分な」
「ははは、腕が鳴ります」
加藤はその十字槍の刃を見上げながらその口を大きく開けて笑う。
「これで敵に虎がおれば言うことなしです」
「御主はいつも虎じゃのう」
羽柴は加藤のその話を聞いて彼も笑った。
「余程虎が好きなのじゃな」
「はい、いつか明か天竺で虎を借りたいと思っています」
「言うわ。まあ御主なら虎を何匹でも狩れそうじゃな」
「そうしたいですな」
「さて、それではじゃ」
今彼等は馬上にいる、そこから後ろを見てだった。
「皆長槍と鉄砲の用意はいいな」
「弓もあります」
「全て整っております」
今度は蜂須賀と浅野が応える。
「そして我等も」
「既に心構えは出来ております」
「では何時でも戦えるな」
「さて、敵は三万でしたな」
加藤嘉明も後ろを見て誇らしげに述べる。
「相手にとって不足はありませぬな」
「朝倉は二万、浅井殿は一万」
秀長もいる、彼も今は戦をする顔だ。
「面白き戦になりますな」
「この功で母上とねねに錦の服をふんだんに着てもらおう」
「ですな、我等の母上にも」
「では今からじゃ」
こう言ってそうしてだった、彼等は間も無く敵が姿を現す後ろを見ていた、後詰での戦いもはじまろうとしていた。
第百三十四話 完
2013・4・24
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ