第百三十四話 信行出陣その十一
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「その三つの家も気になりますな」
「それぞれ石川五右衛門、楯岡道順、音羽城戸といいます」
「その三人が百地の下にいるのですか」
「どうやらこの三人はそれがしと同じ上忍扱いとなっていて百地はその上にいてもどうも同格らしいのです」
「同格でありますか」
「はい、ただ百地は噂によると相当な齢らしく」
詳しい歳もわからないというのだ、百地については。
「それと術の凄まじさから三人の上におる様です」
「ふむ、わかりにくいですな」
「それがしのところはそれがしの下に中忍、下忍となっています」
上忍である彼の下にそれぞれ続いているというのだ。
「そうなっております」
「左様ですか」
「とにかく百地についてはそれがしは何も知りませぬ」
「実は伊賀という国自体も」
ここで丹羽が来て話す。彼も退く全軍の采配を執っている、全軍の采配は兵を動かすことに長けている柴田と佐久間が一番の責を担っているが丹羽もその下で奉行として携わっているのだ。
その彼が来てだ、伊賀という国について話した。
「六角を破って以来織田家の治めるところになっていますが」
「それでもですか」
「その百地の領内についてはあまりにも山奥にあることもあり」
「事実上野放しですか」
「織田家の政に従うと言って来てそれっきりです」
以後何も動きを見せていないというのだ。
「こちらに手を貸すこともしませぬし」
「敵になることもですな」
「どちらもありませぬ」
「ふむ、それはかえって不気味ですな」
「服部殿の一族は皆徳川殿の家臣となりましたが」
その半蔵に対して言う。
「百地は一切動いていませぬな」
「あの者、一体何者か」
何を考えているかですらなかった、何者かすらわからなかった。
半蔵はこのことを言いそしてだった。
「それがしはこれよりです」
「はい、徳川殿のですな」
「あの方のところに戻られますな」
「その前にそlれがしの今の務めをしてから」
そうしてからだというのだ。
「殿のところに戻らせて頂きます」
「それでは」
滝川が応える、半蔵はそれを受けてその場から影の様に消えた。この場でも彼は影の様だった。
その彼が去ってからだ、滝川は柴田と丹羽に対してこう話した。
「では今は」
「今はか」
「また忍の者を放たれますか」
「その時を見て、それよりも今は」
「退きの采配じゃな」
「それですな」
「はい、とりあえず後詰の猿はまだ頑張っていますが」
それでもだというのだ、滝川は鋭い目で語る。
「何時敗れてもいい様に」
「急ぐべきじゃな」
「最悪の時を考えて」
「猿もあれで粘る者ですが」
状況が状況だ、万が一ということを考えてだというのだ。
「若しもの時、兵を一人でも多く逃がす為に」
「その為にじゃ
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