第78話
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物ではない。
実際に拳を上手く利用して蹴りを入れようとしたが簡単に防がれ、さらに気づけばアスファルトに叩きつけられていた。
あの一回での攻防でオリアナは接近戦が不利だと考え、魔術主体の戦闘スタイルに切り替える。
単語帳の一枚を噛み切ろうとした時だった。
「簡単に魔術を発動させると思ったか?」
その瞬間、オリアナの足元のアスファルトが淡い赤色に光り出した。
一メートルくらいの大きさの魔方陣が描かれていた。
(まさか、お姉さんは此処に誘き寄せられた!?)
魔法陣が一瞬だけ強く光った瞬間、爆発した。
上条はそれをただ呆然と見つめていた。
さっきまでの熱はどこに行ったのか、今ではただ見ているしかできなかった。
煙が晴れると水の球体がオリアナを守るように包み込んでいた。
パチン、という音と共に水の球体は割れて消える。
「驚いたわ。
まさか君も魔術師だったなんて。」
「俺は魔術師じゃない。
ただの通りすがりの一般人Aだ。」
「ただの一般人がこんなに強くないわよ!!」
再び単語帳の一枚を口で破ると、空中に氷の槍が何本も出現すると麻生に向かって飛んでいく。
それを次々と避けていき、最後に飛んできた一本の槍を左手で掴み取る。
「なっ!?」
驚きの声をあげるオリアナ。
掴んだ槍の刃をオリアナの方に向け、お返しとばかりに投げつける。
だが、投げた槍はオリアナに向かっている途中で急降下して、オリアナの一歩前のアスファルトに突き刺さった瞬間、その槍は突然爆ぜて、幾つものアスファルトの破片がオリアナに向かって飛んでくる。
単語帳の一枚を破ると、氷の壁が出現してオリアナを守る。
(何なのあの子!?
法則とか角度とか滅茶苦茶なのに、どうして魔術が発動できるの!?
何より・・・・)
「こっちだ。」
後ろから声がした。
オリアナは飛びつくように前に転がる。
その直後、オリアナの首の辺りに麻生の拳が飛んでくる。
いつの間にオリアナの背後に回ったのか全く分からなかった。
麻生はオリアナが魔術でガードしている時に、既に空間移動していたのだ。
(この子自身が強すぎる。)
オリアナは少しだけ苦笑いを浮かべる。
魔術の仕事で幾つもの魔術師を戦ってきたが今、戦っているこの男は段違いに強い。
オリアナは聖人相手でもきちんと対聖人用の魔術を組み上げ、自分に優位な場所で戦えば勝てる自信がある。
だが、この男には勝てるイメージすら湧いてこないのだ。
「さて、そろそろ終わりにするぞ。」
自分は片手を封じられている状態だ。
この看板を捨てて逃げる事はできるがそれをすれば本末転倒だ。
(後ろの二人はこの距離なら追って来ても充分に撒ける。
後は
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