箱根 後編
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ら老人はさらに続けた。
「せめて彼らグループがこれを一致団結して乗り越えることを願いましょう。それに、最後の彼女のあの瞳……、強い光を宿していた。……うむ、彼女がいれば大丈夫でしょう。願わくば先ほどの運命がジジイの戯言であってほしいものだ」
一行が川神に到着したころには、既に夜になっていた。駅で大和達と別れたあと、千李たちは川神院への帰路についていた。
ちなみに一子と瑠奈は既に眠ってしまっており、百代が一子、千李が瑠奈をおぶっていた。
「なぁ姉さん?」
「んー?」
「……あと一ヶ月だよな?」
「なにがー?」
神妙な面持ちで問う百代とは裏腹に、千李は軽々しく返していく。
「だから!ジジイとの死合いのことだ!!」
そう、千李はあと一ヵ月後に鉄心と死合いをする約束になっている。それを知っているのは現在川神院に在籍している修行僧と、ルー師範代及び百代に一子。そして瑠奈だけだ。
いずれ外部にも漏れることだろうが、あまり大々的にはしないのだ。
百代が声を荒げたのは、鉄心と戦うというのにその存在を忘れていたからであろう。
「でかい声ださない、二人が起きるわよ?……ま、そのことなら何とかなるでしょ。負けたからって破門になるわけじゃないし」
声を荒げた百代を千李が軽くなだめる。
「……姉さんが大丈夫ならこれ以上詮索はしないが……がんばれよ」
「まだまだ先の話だって、でもそれまでは私の相手、よろしくね百代」
千李の頼みに百代は深く頷いて返答した。だがすぐにその顔は難しそうな表情になる。
「でもなー……姉さんだけずるいよなー、姉さんが戦えるなら私だって平気なはずなのにさ」
「まぁ、お前はもっと心を鍛えろってことじゃないのかしらね。それができれば戦うことだってできるでしょうよ」
「そんなもんか?」
「そんなもんよ」
百代の怪訝そうな声に、千李は手をひらひらとさせながら返す。百代はそれに不服そうなもののすぐに何かを思いついたように手を叩くと、千李に高らかに告げた。
「よし!姉さんがジジイに勝って、その姉さんを倒せば私が最強ってことだ、待ってろ姉さん!私は姉さんを超えてみせる!!」
「フッ……、まぁやってみなさい。早々簡単にやられる気も無いけどね」
二人は話しながら川神院へと帰っていった。
生ける伝説・川神鉄心と、その孫、鬼神・川神千李が死合いをするまで、あと一ヶ月。
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