箱根 後編
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……まぁ、瑠奈自身が嫌がってないからいいけどさ。
見ると、瑠奈も百代を嫌がることはせず、ちょこんと膝の上に乗っかっている。百代もそれが可愛くて仕方がないのか、頭をなで繰り回す。
そんな光景を見ていると不意に船が止まった。どうやら船から落下したものがいるらしい、何を馬鹿なことをやってるんだと皆で笑いあっていると、
「なんかバンダナつけた高校生くらいの子が落っこちたらしい!」
そんな乗客の声が聞こえ千李たちは一瞬固まると、
「こういうときはあれね、関わらないのが一番いい」
「だな」
千李の言葉に百代が同意すると、他の皆も頷きあう。
皆が平静で笑いあっている中、由紀江だけは最後までオロオロとあわてていた。
時刻は午後四時、西の空に太陽が沈み始めている中、一行はバス停でバスの到着を待っていた。バスの時間には少しだけ早い、皆が思い思いにだべっていると、
「もし……そこのバンダナのお方」
「俺ッスか?」
翔一が占師の老人に話しかけられた。老人は翔一の顔を確認すると
「そうです、……あなたはとてもいい人相をしておられますね、人として魅力があります。そしてさらにかなりの強運をお持ちのようだ」
「お?うまいこと言って金取ろうってか、でも悪いなじいさん。金を払う気はないんだ、それにバスがそろそろ来ちまうしな」
「そうですか、ではタダでかまいませんよ。それだけ気になる相があなた方からでておられるのです」
最終的に老人の好意でタダで占ってもらうこととなった。
千李たちは一人一人、老人に名前などを教えていった。すると老人が懐からタロットカードを出したところで、バスが見えてきてしまった。
「バス来ちゃったわねー」
「それは残念、ですが……おぉ、あなた達の未来はとても輝かしいものですな」
「ま、それだけわかりゃあいいや。ありがとなじいさん」
その言葉を皮切りに、メンバーが次々にバスに乗っていくが、老人は満足げに頷きながらカードをめくっていった。
そして最後、千李の番になってその顔は驚愕に歪んだ。
「こ、これは、死神のカード……!待ってくだされ!貴女は……!!」
老人が言いかけたところで、千李は不適に笑みを浮かべ静かに言い放った。
「運命なんてのは、自分で切り開いてこそ意味があるのよ。おじーさん、占いありがとね。そのカードの意味にならないよう気をつけるわ」
言うと千李はバスに乗り込んだ。
一行を乗せたバスを見つめながら、老人は小さくもらした。
「確かに、正位置の意味からすれば、破滅や離散を表すこの死神のカード。しかし逆位置から考えれば新展開や上昇などという意味もある……」
頷きなが
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