箱根 後編
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失った大和を旅館に運びいれて少したつと、千李の携帯がなった。千李は携帯の画面を見たとき千李の顔が固まった、そこに表示されていたのは、
『親バカ中将』
とあった。そう、クリスの父親のフランク中将だ。
千李が固まっていると百代が怪訝そうに聞いた。
「どうした? 姉さん」
「ん、なんでもないわ。……外で話してくるから」
千李は部屋の外に出ると、通話ボタンを押した。
「なんの御用ですか、中将殿」
『いや、決闘を拝見してね。クリスは大丈夫かね?』
「ええ、クリスの方はぴんぴんしてますよ。大和……あー、対戦した男の子の方は無理したせいでぶっ倒れてますけど」
『そうか、だが実にすばらしい決闘だったよ。クリスが負けるとは思えなかったがね……』
電話越しに賞賛の声を与えているフランクは、実に満足なものの、多少残念そうでもある、クリスが負けたのが残念なのだろう。
「まぁ、そういうこともありますよ」
『ああ、そうだな。……そうだ、君にいい忘れていたことがある。近いうちにマルギッテ少尉も川神学園に編入することとなっているから、そちらもよろしく頼む』
「……」
『千李くん?』
「ああ、いえなんでもないです。……ま、了解です」
『よろしく頼む、では』
それだけ告げられたのを確認した千李は携帯を閉じる、
「はぁ……、まったくあの親バカ中将にも困ったもんねぇ。普通、娘が心配だからって自分の部下を学園に送ろうとするかね……」
肩をすくめながら嘆息する千李だが、不思議と嫌そうではなかった。
その後千李が部屋に戻ると、大和が目を覚ましクリスと由紀江とアドレス交換が行われ、川神魂も教えると、皆の親睦も一気に深まったようだ。
午後になり、一行は箱根観光することとなり、芦ノ湖の遊覧船に乗っていた。一子、翔一の二人は大はしゃぎだった。
一方、世間的に見ればこういうところでは一番はしゃぎそうな風間ファミリー最年少メンバー、瑠奈は千李に抱っこされていた。
「瑠奈はああいうことしちゃだめよー、ほかの人に迷惑がかかるから」
やさしい口調ではあるものの、多少の威圧感を持つ千李の言葉に瑠奈は頷いて返す。二人は船室に移動すると百代たちと合流した。すると百代が、
「なぁ姉さん、瑠奈私にも抱っこさせてくれよー」
「変なことしないならいいけど」
「しないって」
懇願する百代に折れ、千李は瑠奈を百代に預けた。
「おー……、今のワン子では味わえないこの感触……すばらしい」
「完全に変態キャラの台詞よねそれ」
瑠奈を自分の膝の上に乗せ、その感触を味わっている百代に対し、千李は軽くため息をつく。
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