第三十七話 少年期S
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にとった授業だったけれど、意外と楽しく過ごしている。
「メガネの先輩って教え方上手ですよね。最初はわけがわからないことばかりだったけど、おかげで授業についていけますし」
「こういった上下の学年が一緒の授業では、先輩が後輩に付くのが当然だ。私も復習になるし、人にものを教えるのはこちらも力になる。だから気にする必要はない」
そう言ってほほ笑む先輩に、それでももう一度しっかりお礼を言っておく。先輩と選択授業が重なったのは運が良かった。彼女は前に行われた新入生オリエンテーションで、図書室で出会った先輩である。周りが年上ばかりの授業の中で、先輩を見つけた時はすぐに声をかけた。そして話をしている内に、そのまま懇意になれたのだ。さすがに初対面の年上ばかりの空間は、俺だって気後れぐらいはする。
それから俺は、メガネの先輩と一緒に調べた内容をレポート用紙に書き込んでいく。時々文章や中身が間違っていないかを確認してもらいながら進めるので、俺としては安心である。あと俺も、先輩のレポートに誤字脱字がないかを確認するために見せてもらえる。こんな風に書けばいいのか、と先輩のものを見ながら俺自身すごく勉強になるのだ。
「ん、後輩よ。ここの文法が少し間違っているぞ」
「え? ……本当だ、ありがとうございます。メガネの先輩はどこまでできましたか」
「7割方かな。ところで、今更だがそのメガネの先輩はなんとかならないか。メガネをかけている全員が反応するぞ」
本当に今更な指摘に、鉛筆を持っていた手が止まる。そういえば、オリエンテーションの時にそんな風に先輩のことを呼んでいたので、そのまま定着してしまっていたのだ。ここで友人同士ならいいけど、さすがに先輩が相手だとそのままはまずいか。
「えーと、もしかして嫌でしたか?」
「私がメガネをとってしまったら通じなくなるあだ名ではないか」
「え、指摘する点そこですか」
「私とて知的ポイントであり、視力を補うためのメガネをはずす気はない。だがこのままのネーミングでは、他のメガネ女子との一線を越えられんではないか」
あだ名そのものじゃなくて、ネーミングの方に指摘が入りました。そしてなんか色々と口を挟みたいところはあったけど、こんなに自信満々に胸を張られたら何も言えません。つまり要約すると、もっと他の人と一線を隔したあだ名をつけろと。
え、そんな趣味でやっていたものに無茶ぶりを言われましても。俺にネーミングセンスを期待する方がおかしい、というのが俺があだ名をつけてきたやつらの総意だぞ。でもメガネの先輩はダメなんだろ? あと何か特徴はあるだろうか。美人さんとか、どことなく厨二くさいとか、射撃の的みたいな額の先輩とか? 後半はさすがに殴られる。
「……そ、そういえば、先輩の名前ってなんていうん
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