第一部 剣技
Silica's episode 1日だけの
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
ら、今も続けてるんですよ」
珪子は柔らかく微笑む。
「……そっか。だといいな……」
キリトは珪子のを真っ直ぐに見つめると、微笑んだ。
「ありがとう、シリカ」
キリトの言葉に、珪子は自分の顔が急激に熱くなるのを感じた。慌てて顔を逸らしてしまう。
「……どうかした?」
キリトが首を傾げた。珪子は裏返った声で返事をする。
「ななっ、なんでもないですよ! それより、3年生は授業に行って下さい!」
「なにを今更……。依頼受注者は、ちょっとくらい授業休んでも許されるんだよ」
「いいから、行って下さい!」
「え、ええ!?」
珪子はキリトの背中をぐいぐいと押し、3年生校舎に足を踏み入らせた。
「ど、どうしたんだよ」
「……また、会えますか?」
「……え?」
同じ学園だけど、キリトは3年生だし、なにより中等部生でありながら依頼をもらうような、トップ剣士だ。今このまま別れたら、彼との距離はどんどん離れて、もう二度と会えないような──そんな気がした。
しかしキリトは、微笑みながら珪子に言った。
「……なに言ってるんだよ」
「え……?」
「会いたければ、いつでも会いにくればいいよ。俺の本名は、桐ヶ谷和人。休み時間とかだったら、教室にはいると思うよ」
「……休み時間以外、行きませんよ」
珪子の目から、一筋の雫がぽたり、落ちた。あたたかい涙だった。
──ピナ。あたし、初めてこんなにも誰かを想ったよ。
──ピナを助けてくれた、たった1日だけの、お兄ちゃんのこと。
☆END☆
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ