第一部 剣技
Silica's episode 1日だけの
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たように声を張り上げる。
「なにビビってんの! こんなヤツ、ガキじゃない! 一斉に飛びかかったら余裕で片付けられるわよ!」
珪子も驚いた。
?依頼?は通常、高等部のトップ剣士に任されるものだ。
キリトはまだ中等部生徒のはず。ということは、キリトはよっぽどの手練れで──。
珪子がハッとした時、犯罪者達は一斉にキリトに飛びかかっていた。
「──キリトさんッ、いやぁぁぁああああ!!」
珪子は悲鳴を上げる。
キリトが死んでしまう──。そんなの、絶対に嫌だ。
キリトには動くなと言われたけれど。行ったら、あたしも死んでしまうだろうけど。
──こんなの、ボーッと見てられない!
珪子が自ら飛び込もうと地面を蹴った、その時。
ビュンッという音がして、次の瞬間、キリトは囲まれていた輪の中から抜け出した。
キリトが高く跳んだのだ。
──助走なしで、こんなに高く跳べるものなの!?
珪子は圧倒された。
これが、トップ剣士の実力──。
安堵と感心もつかの間、犯罪者達は再びキリトに襲いかかってくる。
しかし、キリトはすべての攻撃を、最小限の動きで避けている。犯罪者達の呼吸は乱れてきているが、キリトは一呼吸として乱れていない。
「……どうしたの、もうお疲れ?」
キリトが相変わらず冷たい表情で言う。
「何時間かしたら、俺の動きが鈍くなったりするのかもしれないけど……アンタらがバテる方が先だろうな。それに、もう警察は呼んである。大人しくしとくんだな」
ロザリアが逃げ出そうとする。キリトはものすごい速さでロザリアの前に行き、襟首を掴んだ。
「悪いな。今回任された依頼は、アンタらをジェイルにブチ込むことだから」
珪子は改めて驚く。
?依頼?。
中等部生には絶対に与えられるものではないはずなのに──。
「──もし、嫌だと言ったら?」
「全員殺す」
簡潔なキリトの答えに、珪子さえも気圧された。
「と、言いたいとこだけどな……おあいにく、今回任されてるのはあんたらを?殺す?ことじゃないんだ。……仕方ない、その場合はこれを使うさ」
キリトはどこからか小さな短剣を取り出した。剣先は緑色の粘液に濡れている。──麻痺毒だ。かなり強力そうに見える。
「十分間は動けないぞ。それまでにすぐ警察来るだろうし。まあ、逃げ出したいならご自由にどうぞ、無理だから」
──無理。
他の人が言えば、そんな大袈裟な、と思っただろうが、トップ剣士の威圧感はすごいものだった。
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ピナはロザリア達に捕まっていたようで、珪子の元へ戻ってきた。
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