第一部 剣技
Silica's episode 1日だけの
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草木を掻き分け、進んでいくキリト。珪子はその後ろ姿を見て思う。
──この人……本当は、あたしからすっごく遠い人なんじゃ……?
その時ふいに、キリトの声がした。
「……実は、ピナの行方は、大方予想がついてるんだ」
「本当ですか!」
「ああ」
キリトは珪子に笑みを向ける。
「君は、ちょっと後ろで待っててくれ。──絶対に動くなよ」
キリトの謎の言葉に、とりあえず頷いておく珪子。
次の瞬間──キリトは別人のように冷たい表情になっていた。
キリトはその冷たい視線を背後の樹に向かって投げかけ、言った。
「そこに隠れてるヤツ、出てこいよ」
すると、樹の陰から、女性の姿が現れた。
赤い巻き髪。意地悪そうな瞳。口にうっすら浮かんだ笑み。
「ロザリアさん……!!」
珪子はロザリアをキッと見据えた。
「さすがねえ……今まで見破られたことは一度もなかったんだけど。さすがはアインクラッド生、といったところかしら? 見たところ、そんなに強そうには見えないけど」
ロザリアはキリトに向かって言う。
キリトは淡々とした調子で続けた。
「俺は、あんたに用があってここに来たんだ。私立アインクラッド学園高等部3年、ロザリアさん──いや、こう言うべきかな。犯罪組織?タイタンズハンド?のリーダーさん」
ロザリアは目を見開いた。
「……へえ。ガキでも、アインクラッド生となるとレベルが違うのかしら? さすがの洞察力ね」
「さて。あんたはアインクラッド生じゃない。生徒のふりをして学園に忍び込んで、生徒の使い魔、高価なモノを盗んでいく犯罪者……そうだろ?」
キリトはロザリアを無視してそう言った。更に続ける。
「ロザリア、あんたは全世界で指名手配中だよな」
「……ふふ、よく気がついたわなぇ」
「じゃあ、わかってるよな。今からあんたが行くとこは」
「ふっ、まさか牢獄? 冗談じゃないわよ。──まあ、その前に返り討ちにしてやるからいいけど」
ロザリアが言った瞬間、キリトの周りを、いかにも犯罪者然とした男達が取り囲んだ。しかしキリトは、握っていた剣を構えるどころか、腰の鞘に戻した。そして、不敵な笑みを浮かべる。
「──キリトさんッ!!」
──無茶ですよ、逃げましょうよ!
珪子は大声で叫んでいた。──そのときふいに、犯罪者集団のうちの1人が呟いた。
「キリト……?」
「黒い制服……盾なしの片手剣……。──?黒の剣士?……?」
男は数歩後退り、震える声で続ける。
「ロザリアさん……こ、こいつ……中等部生にして?依頼?受けてる、アインクラッドトップ生だ!」
ロザリアは一瞬顔を強張らせたが、すぐに我に返っ
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