第77話
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る。
とろり、と唾液の糸がうっすらと引かれ、彼女はゆったりと笑う。
「うふふ、魔力を使い意思を通した炎ならともかく、ただ物理的な燃焼だけではお姉さんを熱くする事はできないわね。
もっとも、少々焦って濡らしちゃったけど、見てみる?
下着までびちゃびちゃだよ。」
この後に及んで、口から出たのは冗談だった。
上条と土御門は全身に力を込めて、いつでも動けるようにする。
それを見た、オリアナは未だに笑みを浮かべながら言う。
「しかし、あなた達はなかなか冷徹よね。
お姉さんの他にもあのバスには一人だけ乗っていたのにね。」
上条と土御門はオリアナの言葉を聞き逃す事はできなかった。
「何だって・・・お前の他にもう一人あのバスに乗っていたのか。」
唇を振るわせながら上条は呟いた。
土御門は上条の肩を軽く叩いて、言う。
「カミやん、あいつの言葉を信じるな。
どうせ、オレ達を動揺させるための虚言だ。」
「あら、嘘じゃないわよ。
何なら、確かめてみる?
あのバスには真っ黒な死体が転がっている筈だから。
お姉さんも助けたかったけど、自分の身を守るだけで精一杯だったの。」
「うそ・・・だろ・・・」
上条は自律バスの残骸を見た。
もし、自分がしっかりと見ていればその乗客が死ぬ事はなかった。
上条にとてつもない後悔が襲い掛かる。
土御門は上条は戦意を失いそうな状況を見て舌打ちをする。
だが、彼も上条以上に後悔していた。
自分があんな指示を出さずに、他の方法を取っていればその乗客は死ぬ事はなかった。
一般人を傷つけたくない、と言っておいて結果を見ればこの有様だ。
対するオリアナも一般人を巻き込んだという後悔はあった。
そもそも、彼女がこの計画を手伝っているのはこういう時に一般人が巻き込まれても、助かって欲しいからだ。
極力巻き込まないように、配慮はする。
しかし、それでも巻き込んでしまったのなら割り切るしかない。
せめて、彼女の胸の中で死んでしまった生徒の事を覚えるつもりだ。
オリアナは二人の隙を窺っており、いつでも逃げる準備をしている時だった。
ガン!!ゴン!!、という音が自律バスの残骸から聞こえた。
自律バスの内側から外に向かって強い衝撃を受けているのか、側面の壁面が徐々に変形していく。
そしてゴン!!!という音と共に自律バスの壁面が突き破られる。
そこから出てきたのは麻生恭介だった。
それを見た三人は驚きの表情を浮かべる。
オリアナはあの突発的な爆発を受けて、生きている事に驚き、上条と土御門はその乗客が麻生である事に驚いている。
麻生は自律バスの残骸から降りて、上条と土御門に近づいて、二人の頭を思いっきり殴った。
「お前ら、毎回毎回俺を巻き込みやが
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