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とある星の力を使いし者
第77話
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乗り込んできたのは金髪で作業服を着た女性だった。
脇には大きな看板を抱えている。
その女性一人だけ乗り込むとドアが閉まり、バスは再び発射する。
麻生はその女性に見覚えがあった。
前に不注意でぶつかった女性で、上条が追いかけていた女性でもあった。
そして、この学園都市に乗り込んだ魔術師でもある。
途端に麻生は嫌な予感がした。
その魔術師がこのバスに乗り込んだという事は、近くに上条達もいる可能性が高い。
さらに、あのステイルがいるのならば何が何でもオリアナを止める筈だ。
麻生は今も寝ころんでいる。
寝転んでいるという事は、外から見ると麻生がバス内にいるとは分からない。
バス内にオリアナ以外に誰もいないと判断したステイルならどうするだろうか?
麻生の疑問に答えるかのように、突然バスに強い衝撃が襲った後、爆発が麻生を襲った。







上条は轟々と燃えるバスを見て絶句する。
確かにオリアナを止める、というのが上条達の目的だったはずだ。
が、これは単純に「止める」の範囲に当てはまるのか。

「いやいや、あれですよ?
 本来ならちょっと火を点けて、自律バスの安全装置を作動させて車体を停めようと思ってたんだぜい。
 ちくしょう、電気カーと思って油断してたにゃー。
 ありゃ電機の他にも天然ガスか何か使っているハイブリットカーだな。」

特に緊張することなく土御門はそう告げた。

「まぁ、あれだ。
 店の人間はみんな出稼ぎ中っぽいし、衛星や無人ヘリの目線はアーケードが上手く塞いでくれてる。
 デカイ騒ぎにゃなんないぜい。」

「な、何で冷静なんだ!
 っつか消火器とかは!?
 早く助けないとアイツ本当に死ぬぞ!!」

「ふうん、そりゃどうかな?」

土御門の言葉と同時。
ギュルン!と、燃え盛る火柱が渦を巻いた。
まるで内側で発生した竜巻に吹き飛ばされるように、膨大な火力が周囲に散って、跡形もなく消えてなくなる。
炎を吹き飛ばしたのは、水分をまとった風、「霧」だ。
ついさっきまで燃え盛っていた自律バスの残骸に、薄い膜が張っていた。
霧の風は、その場にあるあらゆる物体に、うっすらと水分にコーティングを施している。
この水分は並みの炎では蒸発しないものらしい。
火種となる物を全て奪う形で、炎の行く手を阻んで消化してしまっていた。
そして、霧の風の中心点には、一人の女。
自らが生み出した水分によって、髪も、顔も、作業服も、へそも、その全てをうっすらと濡らした、オリアナ=トムソン。
右腕で看板のような物を脇に挟み、左手に単語帳のような物を持ち、口にはその一ページを咥えている。
青色の文字で書かれているのは「Wind Symbol」の文字。
オリアナは咥えた一ページを横へ吐き捨て
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