第77話
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別のバスに乗った所で「追跡」は難しいだろう。
大覇星祭期間中は一般車の乗り入れは禁止されている為、他の車を用意するのも困難だ。
そもそも、上条には車を運転する技術もない。
自律バスは、あくまで定められたコマンドにしか応じない。
運転手がいるなら、バスの背後から両手を振って後を追えば、乗り遅れたのだと思って停車してくれるかもしれない。
しかし、自律バスにそれを求めるのは荷が重すぎる。
上条は慌てて走り出したが、両者の間には二〇メートルもの距離がある。
上条がバス停に辿り着く前に、自律バスはほとんど音も出さずに発車してしまった。
「くそっ!!」
ようやくバス停に辿り着いた上条は、自律バスを停めるためのボタンを押したが、もう遅い。
走り出した車体は反応せず、ゆっくり速度を上げつつある。
一歩遅れてやってきた土御門は、遠ざかるバスを眺めて言った。
「なぁカミやん。
こっからじゃ良く見えないんだけど、あのバスの中ってオリアナの他に乗客いたかにゃー?」
「そんなのどうだって良いだろ。
それよりもどうやってあいつを追い駆けるか・・・」
「良いから、割と重要な事だし。」
「いなかった、気がする。」
「気がする?」
「いなかったよ!言われてみれば他の乗客はいなかった!
多分、昼前にこの近くでやるリレーの予選A組を観るためにみんな降りたんだ。
優勝候補が軒並み揃うから一日目の目玉になるとか、パンフレットにも紹介されてたしな。
それがどうしたって!?」
「それなら安心だ、ステイル。」
土御門は上条ではなく電話越しのステイルに話しかける。
「前に、自律バスの整備場で、バスの壁面にルーンのカードを貼り付けてたな?
それがまだ生きているのならオーダーを頼む。
車体番号5154457に貼り付けたカードを吹っ飛ばせ。」
反応は迅速だった。
ゴン!!という爆発音。
ゆっくりと速度を上げる自律バスの車体側面から、勢い良く火が噴いた。
一秒遅れて車体がさらに爆発し、車体後部が横滑りした。
道路に対して真横を向いた自律バスは、勢いを失わずに横転。
火だるまとなった巨大な金属の塊が、地面をゴロゴロと跳ね回った。
真上に噴き上げた炎の塊が、頭上のアーケードにぶつかって横へ広がっていく。
土御門は二つ折りの携帯電話をパチンと片手で畳んで、困ったような苦笑いを浮かべている。
「効果は絶大・・・過ぎたかにゃー。」
バスに乗り込んだ麻生は一番後ろの後頭部座席に寝転んでいた。
どこに行って暇をつぶそうかと、欠伸をしながら呑気に考えていた。
すると、バスが突然停止する。
ドアが開く音がすると、その方に視線を向ける。
バスに
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