Episode16:性格の悪い人達の集団に入ると大変
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あの馬鹿みたいな騒ぎの部活勧誘週間が始まってから一週間が経った。
結局、俺が忙しかったのは初日くらいで、他は美術部を始めとする室内の部活の見回りを優先的にしていたためさほど大きなトラブルに巻き込まれることなくここまでこれた。途中、達也を狙ったであろう魔法を捌きまくったことはあったけど、まあ、比較的平和だった。今日も今日とて、美術部らへんの見回りをして、本日の巡回の時間は終わった。どうやら、昨日俺が非番だったため、今日は達也が非番みたいだ。
そのことを確認して、俺は風紀委員会本部を後にした。
通路を抜け、扉を開ける。
「あ…」
「………」
市原先輩と目が合った。
え、なんでこんな気まずいの?
よく分からない居心地の悪さを感じて、俺は足早に生徒会を出ようとした。
「九十九さん」
「はいっ?」
しかし、扉に手をかけたところで市原先輩に呼び止められてしまった。
「この後、空いていますか?」
今年一番の波乱の予感を、俺は直感的に悟った。
「市原先輩って甘いものが好きなんですか?」
「ええ、まあ」
俺が、入学式の日のお礼として市原先輩に連れてこられたのは校内にあるカフェテラスだった。奢ってもらえるというので、取り敢えずコーヒーを頼んだのだが、どうやら好意でショートケーキまで奢ってもらってしまった。
申し訳ないと思いつつも、俺の腹は正直で、不覚にも断っている最中に昼飯抜きが祟ってお腹が鳴ってしまった。
結局、甘いものの誘惑に勝つことはできずに俺は市原先輩の差し出すショートケーキを受け取ったのだった。
しばらく経って、俺がショートケーキを食べ終わってコーヒーを飲んでいると、意外にも市原先輩の食べているケーキがモンブランで飲み物がミルクティーだということに気づいた。
「甘いものは頭の回転が速くなるので好んで食べていますね」
「ハハ…なるほど」
実に冷静な市原先輩らしい理由だ。普通、女の子で頭の回転を良くするために甘いもの摂るっていう感覚の人はいないんじゃないかな?
「そう言う九十九さんは、苦いものは平気なんですか?」
市原先輩が、俺の持ってるカップを指差して言う。
「俺は案外苦いのは好きなほうですよ。というか、好き嫌いがないんですよね」
「なるほど…」
そう呟いて、市原先輩は最後のモンブランを口に運んだ。それを見てから、俺は視線を横にズラした。
ズラした視線の先。そこには、二人の男女の姿があった。
「やっぱ、気になるんですか?あの二人、というか達也のことが」
持っていたカップをソーサーに戻しながら
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