十三日目 十二月三日(土) 中編
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訳だ」
「剣士が、自分の剣を投げつけるわけないでしょう?」
セイバーがキャスターを追う。
「違うな。投げると宝具の効果が失われるんだろ」
キャスターの三叉の槍が、眩い光を放つ。直後、セイバーの足元に巨大な魔法陣が出現した。セイバーの四方に巨大な海水の壁が現れる。
「直接攻撃に、必殺の効果と防御無効の効果を付加する。そういう性能なんだろ?」
「答える義理は無いわっ」
セイバーが水の壁に剣を振るう。だが、正面の水面から水の柱が突然現れ、セイバーに襲いかかる。横に避けるも、足元の海面からも水が吹き上がる。
上昇するセイバー。しかし不意に天が陰ったかと思えば、頭上にも水の壁が現れていた。天から水の塊が、弾丸のように高速で落下してくる。
「くっ」
顔をしかめて横に回避行動を取る。それすらも見逃さないように、周囲の水壁から、水流がレーザー光線のように発射されて、セイバーの逃げ道を奪う。
「落ちろやっ」
頭上と左右からの波状攻撃。セイバーは、攻撃が来て居ない斜め下の海面に向かって身体を捻る。だが水流のレーザー群を完全にはかわし切れないと察知し、盾に身を隠しながら空いている空間に落下していく。
「もう逃げられないぜっ」
海面がぼこっと盛り上がり、海面から巨大な水流のレーザーが発射された。セイバーの全身を飲み込めるくらい太い水流の柱が、落下してくる戦乙女に襲いかかる。
横から来る無数の細いレーザーがセイバーの盾にぶつかって弾ける。爆音がして、セイバーが吹き飛ばされる。その勢いを殺さないようにして、限界を超えたスピードを出しながら、セイバーは更に回避を行う。だがもう限界だった。直撃は免れない。そう悟るや否や、セイバーは盾に力を込めた。轟音が轟いた。
「へへっ。今風に言えば、トリトンスペシャルってとこよ。終わりだ、セイバー。この水の檻からは逃げきれねぇよ」
キャスターの勝ち誇った声が、水の檻の中に響き渡った。
「セイバーっ。くそっ、中が見えないっ」
「いよいよクライマックスってところかしら。橘君のセイバーと、私のキャスター。勝つのはどちらかしらね」
並んで海を見つめる二人のマスター。純一の顔には焦りの色が浮かんでいるが、対する響はしごく冷静だ。
(この勝負、勝てるわ)
「……先輩、負けたらどうなるか、聞いてます?」
「この事に関する全てを忘れるそうよ。飛羽と夕月が言ってたわ。聖杯戦争の事は極秘だからって」
「結局そうなるのかよっ!」
ポンプ小屋の事での二人のノリノリの様を思い出し、純一は戦慄した。
「私はね、自分を変えたかったらこの戦いに参加したの」
(令呪さえ使わなければ、勝利は確実ね)
響には、水壁の中の様子が解っていた。響の着ている制服は、実はキャスターが〈道具作成〉したものであり、離れた
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