つぐない
とあるβテスター、雑談する
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ルドMTD》が合併し、《アインクラッド解放同盟》へと名称を改めた。
『情報や食料、金銭といった資源をプレイヤー間で平等に分かち合うこと』をコンセプトに、危険と思われるモンスターの退治、オレンジプレイヤーに対する警戒など、いわば街の自警団のような役割を担っている。
彼らの活躍によって、戦いを避け、『はじまりの街』に留まることを選んだプレイヤーたちが飢えるということはなくなった。
危険を冒して狩りに行かずとも、最低限の資源を《ユニオン》が配給という形で分け与えているからだ。
この街が未だに活気を失っていないのも、彼らの活躍によるところが大きい。
今や、戦えないプレイヤーにとっての《ユニオン》は、このデスゲームにおける救世主とも呼べる存在となっている。
『民を守る騎士』を自称するディアベルにとって、《ユニオン》の指導者という立場は、まさに適任であるといえるだろう。
と、これらの活動については、立派なことだと僕も思う。
彼らの行動は、多くの戦えないプレイヤーたちにとっての支えとなっている。
自分の身を守ることで精一杯な僕なんかとは、比較することもおこがましいくらいだろう。
……だけど、問題は。
《ユニオン》の母体となった《アインクラッド騎士同盟》、その構成員のほとんどが、第1層ボス攻略において、僕に対して敵意を向けていたプレイヤーだったという点だ。
彼らの仕事には街の治安維持も含まれているため、数人体制で日夜パトロールを行っている。
ブラフとはいえ殺意を仄めかした僕が、哨戒中のプレイヤーに見つかってしまえば。
カーソルがグリーンだということなどお構いなしに、何かと理由をつけて《黒鉄宮》までしょっ引かれてしまう───といった可能性も、十分にあり得る。
こういった事情から、僕は下層の街を歩く際は常に隠蔽スキルを発動し、他人の目から逃れるように移動するのが習慣となっている。
幸いなことに、リリアから譲り受けた《シャドウピアス》、更に最近新調したマントの隠蔽スキルボーナスによって、僕の隠蔽スキルはそうそう見破られることはなくなっていた。
索敵スキルを重点的に鍛えている相手でなければ、攻略組クラスが相手でも隠れおおせることができるだろう。
……もっとも、それでも見つかる可能性が全くないとはいえず、いつもビクビクしながら歩いているのだけれど。
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「──それで、あたし思うんです。カラフルな髪の色が似合う人って、結局は元々の作りがいいんだろうなって」
「あー……わかるかも。僕も染めてみようかと思ったけど、似合わない気がして断念したよ。どうせフードで隠れるしね」
「それですよ、それ!ユノさん、なんで街中でもフード被ったままなんですか!?せっかく可愛い顔してるのに勿体ないですよ!」
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