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我が剣は愛する者の為に
彼が辿る道の先
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を浮かべている。

「さっき、何を言おうとしたんだ?」

「ふふふ、はてさて何のことやら。」

どうも真面に答えるつもりはないらしい。
それほど気になる事でもないので、追及はしない。

「さて、視察の方は充分に出来ているでしょうね?
 帰ったら報告書をあげて貰うつもりだから。」

皆に声をかけた時、長屋と長屋の狭い路地の間に座り込んでいるローブの人物が声をかけてきた。

「そこの若いの。」

「誰?」

声を掛けられ、華琳はその人物に視線を向ける。
フードを眼深く被り表情が見えない。
低くしわがれた声だが、若い人が無理矢理創ったようにも聞こえる。
見た目からして占い師に見えるが。

「占い師か?」

「そのようですね。」

「ふん、華琳様は占いなど信じぬ。
 さっさと立ち去れ!」

「春蘭、秋蘭、華憐、少し下がって貰えるかしら。」

この人物から並々ならぬ気配を感じ取ったのか、三人を下がらせ一歩占い師に近づく。
占い師は少しだけ顔を上げて、華琳の顔を観察しているようだ。
そして。

「強い、強い相が見える。
 希にすら見た事のない強い相じゃ。」

「一体、何が見える?」

「力のある相じゃ。
 兵を従え、知を尊び、この国の器を満たし、繁栄させる事ができる強い相じゃ。
 しかし・・・・」

「しかし?」

「お主の力は今の弱い国の器には収まらぬ。
 その野心、留まる事を知れず。
 あふれた野心は、国を犯し、野を侵し、いずれはこの国の歴史に類い希なる奸雄となるじゃろう。」

「貴様!
 華琳様を愚弄する気か!」

殺気を立たせながら秋蘭は占い師に組み付こうとする。
当然だろう。
奸雄とは簡単に言えば、 悪知恵を働かせて英雄となった人の事を指す。
文字通り侮辱されているのだから、怒らない訳がない。
一方、侮辱されたのなら春蘭が黙っていないはずだが、彼女は黙って聞いている。
多分だが、 奸雄の意味が分かっていないんだろうな。
分かってたら問答無用で斬りかかるだろうし。
対する華琳は怒りもせず笑みを浮かべている。

「落ち着きなさい、秋蘭。」

「ですが・・・・」

「この時代の奸雄となると?」

「そうじゃあ・・・・だが。」

震える腕をゆっくり伸ばし、俺を指さした。

「俺?」

「その男が生き続ける限り、お主の目指す道は決して終わりを迎えない。」

占い師の言葉にその場にいる全員が息を呑んだ。

「縁が私の部下になれば解決するのかしら?」

「違う、生きていればお主の道は決して終わりを迎えぬ。
 もしその道を完遂したいのなら、今すぐ命を奪うがよい。」

「何とも、危うい事を言う奴だな。」


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