彼が辿る道の先
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ある旅芸人を見つけた。
とある街で歌を芸にしている旅芸人だ。
確か、数え役萬☆姉妹って名前だったかな?
「旅芸人まで来ているのか。」
「それだけこの地域が安定しつつあるということですね。」
「でも、賊による被害の報告は耳にするわ。
油断しないようにね。」
秋蘭と華憐と華琳の会話を聞く限り、あの歌は南方の歌らしい。
あの時、街で聞いた時と変わらないが人だかりはできていない。
どうも受けが悪いようだ。
おそらく、あの街では歌というのが珍しかったからあそこまで盛り上がったが、この街ではそれほど歌は珍しくないようだ。
俺はあの娘達の歌は好きだけどな。
華琳はああ言っているが、実際街道などの安全が安定しているからこうして旅芸人が来るのだろう。
出来れば声を掛けたい所だが、仕事中でもあるので諦める。
「さて、広くない街だし手分けして視察するか?」
「そうね・・・私と北郷。
春蘭と星。
秋蘭と月火。
華憐と縁でそれぞれ分かれて視察しましょうか。」
組み合わせについては誰も異論を述べない。
それぞれ手分けして、歩き一通り見て回ったら突き当りの一番大きな門の所に集まるということになった。
「んじゃあ、行くか。」
「はい。」
俺の声に華憐は小さく頷いて、街を見ていく。
今歩いている通りはフリーマーケットのようにこの街に来た行商人達が、自分の商品を広げて見せ大きな声で宣伝している。
商品は様々で、絹や剣、防具から雑貨類など。
珍しい商品などが並んでいたりと飽きさせない。
故に人の数も多く、大通りに負けないくらい活気に満ちている。
「ふむ、活気には満ちているが少し往来が多いな。
これだけ多いと盗みを働く奴も出てくるだろうし、喧嘩も発生しやすい。
兵や巡回する道を改めないといけないな。」
「・・・・・・」
率直に思った事を簡単にメモしながら華憐に話しかけるが、返事が返ってこない。
「華憐?」
立ち止まって振り返ると俯き加減に立っている華憐。
気になったのでもう一度声を掛けようとして。
「縁さん。」
彼女の方から声をかけてきた。
「何だ?」
「縁さんは、本当に此処を出て行くのですか?」
「・・・・・・」
悲しみに満ちた目を俺に向ける。
問いに俺は答えずにいると、華憐は言葉を続ける。
「姉さんは縁さん達が来てから、本当に楽しそうに政務を行っていました。
特に貴方と一緒に仕事している時が一番。
あんな笑顔を見たのは久しぶりです。
頭痛に悩まされながら疲れを溜めながらも、仕事をこなしていた前の時とは全然違います。
縁さん達が居れば、姐さんの負担も軽くなって笑顔が増えるんです。
ですから・・
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