追想〜激突する白と灰〜
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「申し訳ないのですが、こちらも暇ではありませんのでね。手短かに言わせて頂きます。私は・・・・・・死銃。彼の『隻眼のザザ』をも越える本物の死神です。『青氷の狙撃手』シノン様。貴女様の首を頂きたく存じます」
余りに淡々と語られる数々。まず、この男があのザザすらも越える死銃?幾人ものプレイヤーを消した黒星を隠し持っているのかもしれないが、あの男とは似ても似つかないではないか。そして、そんな男が自分を殺す?訳が分からない。理不尽に対する怒りに背を押され、腰のベレッタ90twoを抜く。
「私を・・・・・・見くびらないで!」
未来的なマットブラックの銃口を白髪の男に向け、眉間と心臓を狙って立て続けに二発発砲。並みのプレイヤーなら難なくHPを消し去れる、神速の抜き撃ち(クイックドロウ)だ。
パンパン!と鳴る発砲音は、甲高いギィンギィン!と言う耳障りな音にかき消され、その後ビスビスッ!とシノン達の背後の壁に食い込む。残り二発が跳弾となり狭い通路を駆け巡るが、両者共に無事。
「いえいえ、私は貴女様を決して過小評価などしていませんよ?貴女様とお連れの方二人、私一人で問題なく相手に出来るという意味です。」
男の手にはいつの間にか一丁のリボルバー拳銃が握られていた。恐らく、シノンの銃撃を予測線で予知し、この銃が放つ弾丸でシノンの銃撃を弾いたのだ。針金の様に細い手足を考慮してか、その銃身は少女の指の様に細く、磨きあげられた銀の様に白い輝きを放っている。その銃の名はエンフィード。イギリス製のリボルバーで、小口径ながら素早く装弾が出来、整備も容易な中折れ式(トップブレイク)を採用している。
「失礼ながら、状況を理解して頂けたでしょうか?では早速・・・・・・」
死んで頂きます。と声に出さずに呟く。
「助けて、新川く」
パンパンパンパンパァン!
シノン達の後ろの通路から、グロックとスプリングフィールドXDが同時に火を噴いた。
神速としか表現のしようがない、あたかもその姿は、『疾風』や、『稲妻』と形容されるものだ。駆け抜ける二つの風が、青白い剣と、黒い双刃を抜き放つ。
「僕の彼女に「俺のダチに」」
「「何しやがる!!」」
雄叫びと共に、降り下ろされる落雷のごとき一撃。男の腕が、あっさりと、いっそ呆気なく切り落とされる。
「成程、貴方様方がシュピーゲル氏とクラディール氏ですか。ちょうどいい。貴方様方の首も、共に頂戴させて頂きます。」
片腕の男は、利き腕が切り落とされたにも関わらず、ニヤリと笑って見せた。
「私の名は『斑猫』(はんみょう)。先輩方どうぞお見知りおきを。私は貴方達を越えるために生み出された。」
銃と硝煙の世界に現れた、新たなる『白』。禍々しく澱んだ白と、灰色の風、漆黒の雷
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