第四十九話 スペンサーの剣その三
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「それは」
「ないですか」
「日本刀は持つには色々難しい決まりがありまして」
「銃刀法です」
警官の高橋がここでスペンサーに話す。
「日本では銃は所持には免許が必要でして」
「そういえばガンショップもありませんね」
「はい、そうしたお店もないですし」
「刀もですか」
「刃物を携帯しているだけでも警察に注意されます」
そうなるというのだ。
「過去に何度か通り魔殺人が起こっていまして」
「それでなのですか」
「そうです。銃刀法に問われますので」
「だから日本刀もですか」
「剣道をする人間でも持ったことのない人は多いです」
「だから彼もですか」
スペンサーは日本刀を持ったことはないと答えた上城をちらりと見てからその上で高橋に対して答えた。
「持ったことはありませんか」
「そうです」
「では日本刀を持つには」
「指導者が傍にいる必要があります。ですが」
「しかしですか」
「普通未成年に真剣を持たせる先生はいないですね」
そもそもその時点でアウトだというのだ。
「あまりにも危険ですから」
「それでなのですか」
「そうです。私はありますが」
高橋はスペンサーに対しては一人称を変えて答えた。
「警察の剣道のイベントで持っています」
「よく切れるそうですね」
「そうですね。かなりの技量が必要ですが」
日本刀を扱うことは容易ではない、相当な技量が必要でありましてや片手で簡単に使える代物ではないのだ。
「使ったことがあります」
「それでよく切れることも御存知ですか」
「かなり」
「日本刀はトゥーハンドソードに比べてかなり軽いですが」
比較にならない位にだ。その重量は同じ種類の武器とは思えない位に違う。
「それでも切れるのですね」
「技で切ります」
高橋はこう答えた。
「日本刀は」
「技で、ですか」
「はい、技で切ります」
「重量ではなく」
スペンサーにとってははじめて聞くことだった。それは彼の今までの剣とはまさに全く違う世界のものであった。
それで興味を持ったのであるがここで上城はこんなことを漏らした。
「刀は」
「何か」
「真剣はないですが」
無意識のうちの言葉だった。
「あれは」
「あれとは」
「あっ、いえ」
スペンサーの指摘で気付いて言葉を止めた。
「何でもないです」
「そうですか」
「はい、何でもないです」
こうスペンサーに答える。
「気にしないで下さい」
「そうですか」
「はい」
「わかりました。しかし日本の剣道については」
「興味を持たれましたか?」
「私にできるでしょうか」
こんなことも言ったのだった。
「日本の剣道は」
「誰でもできますけれど」
上城はこうスペンサーの問いに答える。
「剣道は」
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