第四十九話 スペンサーの剣その一
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久遠の神話
第四十九話 スペンサーの剣
場所はアメリカ領事館の体育館だった。そこでだ。
上城達は剣道着に着替えて準備体操をしていた。既に防具や竹刀を持って来ている、上城はその中でこう工藤に言った。
「型ですね」
「まずはそれをお見せしよう」
工藤も準備体操をしながら上城に答える。
「それからだ」
「防具を着けてですね」
「稽古もだな」
それも見せるというのだ。
「そうしよう」
「わかりました。それじゃあ」
「準備体操はよくしておこう」
工藤と上城だけでなく高橋もそれをしている。工藤はその中でこう上城に対して言ったのである。
「念入りにな」
「そうですね。こうして身体をほぐしておかないと」
上城は立ってアキレス腱を伸ばしている。
「怪我をしますからね」
「身体をほぐすと身体も温まるしな」
「余計にいいですね」
「身体は柔らかく温かくだ」
常にそうしてだというのだ。
「怪我を防がないと駄目だ」
「ですよね」
「怪我をしては元も子もない」
スポーツでそうなってはまさに本末転倒だ、それは武道でも同じだ。
「だからこそ準備体操も手を抜かずにな」
「念入りにしてですね」
「怪我をしないようにしよう」
「わかりました」
「さて」
ここでまた言う工藤だった。彼は寝て前屈をしている。
「君もかなりな」
「かなり?」
「身体が柔らかいな」
見れば上城も寝て前屈をしているが手の先が足のつま先に完全についている。それを見ての言葉だった。
「毎日柔軟をしているか」
「はい、そうしています」
「そうだな。柔軟も毎日しないとな」
「本当に怪我が怖いですから」
「いいことだ。身体が柔らかいとだ」
「余計に怪我をしにくいですからね」
「とにかく身体は柔らかいに越したことはない」
こう上城に言う。
「硬ければそれはだ」
「柔軟をしっかりして、ですね」
「柔らかくしないとな」
「とにかく身体が柔らなくないと駄目なんですね」
「特に柔道はだよ」
上城に高橋も言ってくる。無論彼もストレッチを念入りにしている。
「剣道もアキレス腱が大事だけれどね」
「柔道は特にですか」
「だから柔道なんだよ」
柔らかい道だというのだ。
「まあ柔よく剛を制すだけれどね」
「とにかく柔らかく、ですね」
「どんな小柄な人でも巨人を倒せる」
高橋は言う。
「そういう武道だからね」
「そう言われてますね」
「技の一つ一つがとにかく身体が柔らなくないと」
そうでなければというのだ。
「怪我をするんだよ」
「剣道以上にですね」
「投げて締められてだからね」
柔道とはそういうものだ。竹刀ではな
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