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銀色の魔法少女
第二十九話 暴走
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ちゃん」

 ファリンが遼にそう呟く。

 遼と愛染の間に入り込んだファリンのトンファーが彼女の剣を愛染の首スレスレの位置で止めていた。

「後のことは私たちの仕事です、遼ちゃんはゆっくり寝ててください」

 ニコリと微笑むファリンにそう言われ、しぶしぶ遼は剣を収める。

「……じゃあ、よろしく」

 そう言うと遼は扉を開け、屋敷に戻る。

「ふう、危なかったぁ〜〜」

 そう言って腰を抜かすファリン。

 その手に持つトンファーの半分まで切れ込みが入っている。

「後もう少し遅かったらあなたの首が飛んでましたよ」

 そう言って振り返るが、

「あら、聞こえてない」

 肝心のアイゼンの意識はあらず、すでに気絶していた。

「ファ、リン」

 ゆっくりと、ノエルが立ち上がる。

「ああダメですよお姉さま、まだ動いちゃ」

「心配、ありません、私たちの体は、特別性です、直にこの傷も癒えるでしょう」

 「それよりも」と、彼女は手に持った鏡花水月をファリンに差し出す。

「これを厳重に封印しなさい、決して誰の目にも触れないように、私はそこの男の止血と拘束をします」

 壊してしまおうとも考えたが、もし何かあればそれこそ一大事。

「?? 分かりました」

 どういうことかさっぱりわからなかったファリンだったが、大人しく刀を受け取り、屋敷に戻る。

「あら?」

 そして、倉庫の前で遼にであった。

「遼ちゃん、こんな所でどうかしました?」

 遼から返ったきたのはたった一言。

「迷った」
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