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銀色の魔法少女
第二十九話 暴走
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きく途切れ途切れになってしまう。

 そして、分身たちが一斉に遼に斬りかかる。

 多分、この中に本物もまじっているのだろうが、見分けることはできない。

 私は己の未熟さを呪う。

(私はお嬢様のご友人、それも契約を結んだ彼女すら守れない)

 そして私の目の前で数々の刃が、遼お嬢様を貫いた。



side 愛染

 ばかな、ありえない。

 私は目の前の光景を疑った。

 私は新しく現れた彼女に、間違いなく鏡花水月を使った。

 これは私の最も最強だと考える力。

 一度目にすれば逃れることなど叶わない、絶対的な力。

 だからアルテミスの転生の際、真っ先に特典に選んだ。

 卍解を砕かれ、弱体化はしているが、それでもなお強力なのには違いない。

(なのに、なのに!)

 絶対に当たると思った攻撃は防がれ、逆に私の左腕が飛ばされた。

 後ろのノエルも驚いている。

 何があった。どこを間違えた。

 私の頭を回る言葉はそればかり。

「一体どういうことだ!」

 私はたまらず目の前の少女を問いただす。

「鏡花水月は完璧だった、なのにどうしてお前は騙されない!」

 しかし、彼女から返ってきたのは一言だけ。



              「何が?」


 その言葉で私は確信する。

 彼女は鏡花水月を使ったことに気づいていなかった。

 つまり、彼女に幻覚は一切見えていない。

 彼女からすると普通に斬りかかってきた私に反撃しただけのこと。

 同時に確信する、彼女の正体とその能力に。

「お前は、まさか!」

 しかし、これ以上私が話すことはできなかった。




side 遼

 許さない。



 私の友達を傷つける人は絶対に許さない。



 私から何かを奪おうとする人は、絶対に許さない。


 
 目の前にいるのはその最たるもの。

 気配だけでもわかる。

 悪意を持って、私を殺しにかかる。



               だから私は左腕を飛ばした。



 それだけなのに、あいつは異常に驚いて私に話しかけてくる。

 うるさい。

 その声が、その存在が、私にとって不愉快極まりない。

 レイの時はこれほどではなかった。

 何が私をここまで駆り立てるのか、私にもわからない。

 けど、目の前にいる醜悪な存在を、私は容認できない。 



 だから私は二度とコイツが現れないように、首を飛ばすことに決めた。



side ALL

 キィィンと、金属同士がぶつかる音が響く。

「やりすぎですよ、遼
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