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剣の丘に花は咲く 
第九章 双月の舞踏会
第五話 変わる日常
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霊騎士隊《オンディーヌ》として杖を振るうには、それに相応しい実力が必要だと士郎は主張したのだ。正式な隊員として活躍するには、もう一つの試験に合格しろと。
 そこで出した試験の内容とは、訓練の際、士郎に一撃でも当てられれば合格というものであった。
 訓練は授業が始まる前の早朝と授業が終わった後の夕方の二回。
 ギーシュたち四人が精霊騎士隊(オンディーヌ)に入隊してから二週間近くたったが、その間行われた訓練ではかすりもしなかった。
 このまま問題が起きなければ良いのだが、そうも言っていられないだろうと士郎はなんとなく思う今日この頃。



 何故ならば、



「ぜ、絶対に殺してやるぅぅ〜ッッ!!」
「く、くくく……は、這い蹲らせて豚のように鳴かせてやるッ!!」
「ふ、ふふ……う、羨ましくなんかな……いッ!!」
「くく……ふふ……あっ……はは…………ふ、コロス」



 今日もまた、背中に四人の怨嗟の声が聞こえる。
 最近は声に混じる殺気が士郎でも警戒するレベルになってきている程だ。
 ここまで恨まれるとは、しかし、前途ある生徒たちを危険に晒したくはない。
 恨まれるのは覚悟で、心を鬼にしてギーシュたちの正式な入隊を阻まなければ。
 

「シロウさん。いいお茶の葉が手に入ったんですけど、食後に一緒にお茶をしませんか?」
「ち、ちいねえさまっ、わ、わたしも」
「ふふふ、もちろんルイズも一緒よ」
「お茶をするのなら、お手伝いにメイドは一人如何ですか?」
「そうね、じゃあお願いしようかしら」
「わっ、わわわ、わたしもよ、よろしいでしょうか」
「ふふっ、そうですね。お茶は大勢でやるほうが楽しいですしね」


 楽しげに今日の予定を(勝手に)決めるルイズたちに、朝から気力が削られていく気がしながらも、士郎は周りを囲む少女たちと共に学院に向け歩いていく。
 


「「「「ぐ、ぐぞぉ〜〜〜」」」」



 背後から聞こえる怨嗟の声が強くなった気がしたが……気のせいだろう。


 


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