崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
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には、すでに中原、そして徐州での歴史を起こす事は出来なくなっています。それを改竄する必要があるのですよ」
于吉の言葉に、盾二が黙考する。
しばらく考えた後に、顔をあげた。
「……梁州を新たに設置して、そこの刺史となった劉備を、いまさら中原周辺の官職にすることなんてできないだろう? それについては謝罪するが……どうしてもやらなければならない歴史再現はなんだ?」
「今の段階では、反董卓連合と……官渡の戦い、そして、新野からの民との大移動ですね」
「前二つはともかく、三つ目はな……俺が居ない世界ではどうなっているんだ?」
「反董卓連合と官渡の戦いは問題なく起こります。新野からの移動は、中原からということになりますが……」
「中原から!? あそこからどこに……まさか、蜀建国か!?」
「ですね……」
「中原からだと……? 一体何百キロあると思っているんだ、直線距離でも千キロは優に超えるぞ!?」
「それが……北郷一刀が起こした歴史改竄ですよ」
そう言う于吉の表情は変わらない。
依然として厳しい表情で、目の前に居る盾二を見つめている。
盾二は、再び顔を俯かせると黙考する。
「……その歴史は、『劉備』が起こす必要があるのか?」
「いえ……それが『起こったこと』が重要なのです。それが曹操でも孫策でもいいのですが……」
「それでいいのか?」
「ええ。歴史の流れが求めるのは、『大本』という本流です。その事象が起これば、演じる役者は誰でもいいのですよ」
「そうか……ならいけるかな?」
「……何か妙案が?」
于吉が、眉を上げて訝しげに盾二を見る。
盾二はニヤッと笑い、指を曲げて耳を貸せと呟く。
「………………」
「………………」
于吉に耳打ちする事、しばし……
そして盾二が于吉から離れると、于吉はぶつぶつと呟いた後に頷いた。
「……可能ですね。わかりました。その案でいきましょう」
「助かるよ。俺にとっても利点があるしな」
于吉の了承に、ほっと息を吐く盾二。
于吉は、その様子に薄く笑った。
「できれば耳打ちしてくださったときに、そのまま口づけをして頂きたかったのですが……」
「そっちの趣味はないので勘弁してくれ。俺はきれいな方なんだろ?」
自分で言いつつも、顰め面をする盾二。
その様子に、于吉は歪んでいない素直な笑顔で微笑んだ。
「そうですね……正直助かりました。貴方を騙すか敵対する事でしか、歴史修正が出来ないと思っていましたので……」
「こちらとしても仙人を相手にするのはごめんこうむる。どんないかさまを使われるかわかったものじゃないしな」
そう言ってお互いに笑いあう。
先程とはうって変わった穏やかな空気が漂う。
「さて……私
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