崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
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定が崩されかねないということになる……そうか。そういうことか」
于吉に答えながらも、何かに確証を得て頷く盾二。
「于吉。お前、管理者の保守派なんだな」
「!!」
「そして貂蝉が革新派……正史に因らず、新しい歴史を作ろうとする者というわけか。それで俺が生み出されたと……?」
「…………………………はぁ」
于吉は、全身を脱力するように椅子にもたれ掛けた。
「あの北郷一刀から、こんなとんでもない人物が生まれるとは……まさか貴方、実は正史の諸葛孔明とかじゃありませんよね?」
「冗談じゃない。本来の孔明ならこんなこと他者に言わずに、それを如何にして最大限利用できるか考えて、誰にも言わずにそれを為すだろうよ」
「…………はぁ」
于吉が、頭を抱えるようにテーブルに肘を突いて嘆息する。
「完敗です。参りました。正直お手上げですよ……限られた情報からそこまで推察できるなんて。天魔鬼神ですか、あなたは……」
「俺が言ったのはあくまで仮説だよ。だが、今それが確証に変わったわけだが、な」
「それに気付けただけ大したものですよ……それで、貴方はどうするのですか?」
「? なにがだ?」
盾二はきょとんとして尋ねた。
「私が歴史を守る側であり、貴方にそれを為させる為に接触したことは、貴方ならば気付いているでしょう? その事実を知った上で聞きたいのですよ。すでに梁州という歴史的改変を起こした貴方に、です」
「………………」
「これから私達は、歴史を修正する為にこの後の大きな事象を起こすつもりです。この後に待っている出来事を、貴方は知っているはずでしょう? それを……邪魔しますか?」
于吉は、若干警戒しながら盾二に尋ねる。
それは先程まであって飄々とした表情ではなく、切羽詰ったような顔だった。
「この後に起こる事、ねえ……霊帝の崩御、何進の暗殺、宦官の殺害と献帝の逃走、董卓の台頭に反董卓連合の結成……そんなところか?」
「………………」
「お前が心配しているのは、劉備に身を寄せる俺が、親睦のある董卓へ力を貸すか否か、だろ?」
「………………」
于吉が無言のまま盾二を見つめる。
若干、空気が張り詰めたように盾二には感じられた。
「……歴史はその通りに動くから歴史だ。それを知る者が、介入して『知っている』という利点を最大限に生かすならば、それはそのまま起こさねばならない」
「………………」
「だが、後の歴史書にそうなってさえいれば、その人物の生死まではいくらでもでっち上げられるってことだよな?」
「………………」
「……落としどころでは、こんなところだと思うんだがな。それでも、まだ不服かい?」
「……貴方が歴史を改変した事で、劉備の立場は強化される事になるでしょう。さら
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