崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
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あ、そういう意味じゃなく……種無しでもありませんよ。要するに下半身で女性を手篭めにするようには出来ていないんです」
「……………………………………どういう意味だ」
いろいろな考えを巡らせて言葉の真意を掴みかねて尋ねる盾二。
于吉は、にやっと笑った。
「簡単にいえば、貴方は『きれいなジャ○アン』ってことです」
ガン!
再度テーブルに突っ伏す盾二。
「……お、おれの、俺の存在って、一体……」
一刀の――その延長線上にある、自らの存在価値を下半身で決められた事に、内心涙する盾二。
于吉は、ニヤニヤしながらその様子を見ている。
「まあまあ……本当にそうなのですから仕方ないです。強く生きてくださいね?」
「お前に言われる筋合いはねぇ!?」
「ハハハハハ……まあ、冗談はともかく」
「冗談だと!? 面白がってやがったのか、てめえ!」
「いやいや……なんなら他世界の実証を、幻影で見せましょうか?」
「そ、それはいい……というかやめて、やめてください、お願いします……」
既に盾二の壊れかけた心は、その事実を拒否して見ないことにした。
見ない事は知らない、ゆえに確定ではない。
そういうことにしておこうと逃避した盾二を、誰が責められようか……
「まあ、それはそれとして、ですよ。私達管理者は、そうした世界の調整を生業としています。それが存在理由ですからね」
「……世界の意思というか、次元の管理者にでもそう定められた存在ってことか」
「……スプリガンの世界の知識ってのは、すごいですねぇ。そういうことを理解できてしまうのですから」
「あっちじゃ精霊や高位次元存在すら見てきた先輩が居るからな……それで、最後の世界全体の調和ってやつは?」
「ああ、それは簡単です。世界が崩壊しない程度に世界に乱を起こす事ですよ」
「……!?」
その言葉に目の色を変える盾二。
于吉はニヤリと笑って、その様子を眺めた。
「……………………………………」
だが盾二は、その視線に反応せず、何かを探る様に黙考する。
于吉は、自身が思っていた様子とは明らかに違う反応に訝しむ。
「……? どうしました?」
「…………なるほど。つまりは悪役――変革された世界で、正史に則った歴史的出来事を起こす役というわけか」
「!?」
このとき于吉は、初めて素で驚いた。
まさしく、それこそが于吉が行っている事なのである。
「……………………何故、何故そこまでわかるのですか?」
「ここまで変革された世界だ。歴史的出来事というやつは、その時代の事象の結論として歴史に記された出来事という存在理由がある。だが、変革されたことで歴史的出来事が起こらなければ、今後の歴史を知るものにとって世界の安
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