崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
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立ち上がって、傍にある茶碗と急須でお茶を入れだした。
「お茶を出しますので座りましょうか。そちらへどうぞ」
「………………俺の目の前で死体を操るのはやめろ」
「おお……そうでしたね。では」
そう言って手を振ると、急須にお湯を入れた後に力が抜けたように倒れ、霞のように消え去った。
その跡を継ぐように、自らお茶を煎れる于吉。
「粗茶ですが」
「……………………ありがとさん」
椅子に座り、礼は言うものの、そのお茶に手をつけようとせず于吉を見つめる盾二。
その眼差しに苦笑しながら、于吉は椅子へと座った。
「そう見つめられるとゾクゾクしますね……良い男に見つめられるのは、やはりいいものですよ」
「同意する気にもなれないがな……で、その世界の原理はわかった。その調査はわかるとして……調整とは?」
「簡単に言えば、世界が固定されるのはいいのですが、他の世界へ干渉をおこすことが簡単に出来るような世界は、周辺の世界を壊す可能性があります。それが生み出された世界とリンクするように作られた世界であるならばいいのですが……」
「そんな世界もある、と? そんなこと……いや、人の妄想の世界ならばありえるか」
「はい。そういう世界は例え固定されたとしても周辺を巻き込まぬように世界を消滅、あるいは霧散させるか孤立させる必要があります。そういった調整をするのが管理者の役目なんですよ」
「……なるほど。つまりそれは『この世界』のことだな?」
盾二の言葉に、きょとんとした表情を見せる于吉。
次の瞬間、爆笑しだした。
「ハハハハハハ! 本当に貴方は凄い人だ! そこまで見通しますか……くくく。その通りですよ。この世界は『北郷一刀』により他世界への干渉を起こす危険があったために隔離された世界です」
「隔離された中で、爆発的にベビーユニバースとして更に無量大数生まれた世界のうちの一つ……だろ?」
「うんうん。本当に流石です。ほとんど最適解ですよ。いやはや、あの北郷一刀からこんな存在が生み出されるとは……」
心底参った、というように笑う于吉。
しかし盾二は、一刀が馬鹿にされたことにより、若干苛つくように顔を顰める。
「俺の知っている一刀なら、俺と同じように答えを出す……はず……たぶん………………………………まあ、いいや」
「くくく……面白いですねぇ、貴方は。実に面白い」
「お褒めに預かり恐悦至極……とでも言えと?」
「くくくく……ハハハハハ!」
再度笑い出す于吉。
その様子に盾二は、憮然としながら溜息をついた。
「俺のことはいい……それよりも、もしかして……貂蝉から聞いたバカやった二人の仙人の一人って、アンタじゃないだろうな?」
「ハハハ……ほう。どうしてそう思うのですか?」
「簡
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