暁 〜小説投稿サイト〜
真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
[3/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のですが……

『俺は元々旅人だった。だから旅に戻るだけだよ……君の手助けにはなれなかったけど、少なくとも干渉しないようには手を打った。俺のここでの目的は……今はもうないんだ』

 そう言って、桔梗に微笑んだ盾二様。
 その言葉に、若干桔梗の様子が変でしたけど……結局、そのまま盾二様は旅立ちの準備を始めてしまいました。
 そして翌朝の今……ここで見送っているのです。

「………………」

 桔梗は昨夜から無言でした。
 盾二様から伝えられた一言に、なにか思うところがあったのでしょうか?

「ふん! なんでワタシまで貴様の見送りなんか……」

 あら。
 魏延さん、いたのですね。

「桔梗様が無理にでも見送れといわなければ、誰があのような男の為になど……(ぶちぶち)」

 ……聞かなかったことにしておきましょうか。

「皆、見送りありがとう。俺は西へ行った後、しばらくしたら梁州へ戻るつもりだ。機会があればぜひ梁州へ来てほしい。歓迎するよ」
「うむ……お主は、劉表殿とのこともある。近いうちに梁州へ書状を送る。是非とも同盟を組みたいものじゃ」
「……桔梗、それは劉焉へ奏上してから決めたほうがいい。これからは君の上司は劉焉になるんだ。今までのようにはいかないつもりでいてくれ」
「…………お主の言じゃ。肝に銘じておこう」

 そういえば、そろそろ劉焉様が成都に御付きになる頃でしょうか?
 確かに、今まで無主だった益州周辺をまとめられるようになるのですから、桔梗とて今までの様にはいかないでしょうね。
 ……やはり状況認識には素晴らしく長けている方ですわね、盾二様。
 できれば……わたくしは貴方に仕えたかった。

 でも、わたくしは友人である桔梗と共に残ることに決めています。
 ですので……

「盾二様……お元気で」

 わたくしはそれだけを伝えて、微笑むのです。
 でもいつか……いつか、機会に恵まれたなら……

「ああ……紫苑も元気でね。君ほどの人なら、心配はしてないけど……もし何か困ったことがあれば、いつでも頼ってくれ。力になるからさ」

 そう言って笑う盾二様。
 その笑顔に……思わず抱きしめたくなる。
 ですが、その衝動をぐっと堪えました。
 別れは……笑顔で送るものですから。

「魏延さんも元気で」
「フン! さっさと行ってしまえ! 貴様など……ギャン!」

 科白(せりふ)を全部言う前に、桔梗の拳骨が魏延さんの脳天に落ちる。
 おおお……と唸る魏延さんに、わたくしも桔梗も、盾二様も苦笑している。

「璃々ちゃん……またね」
「…………………………(コクン)」

 璃々は、涙を我慢するように俯いたまま、無言で頷きました。

「じゃあ皆! またな!」
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ