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真・恋姫無双 矛盾の真実 最強の矛と無敵の盾
崑崙の章
第13話 「その前に……少し試させてもらいましょうか」
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た。地盤を固めて、内政も時間を掛ければ史実よりも強大な蜀が作れるという見込みもあったんだ。その財源とするつもりだったのに……」

 賢者の石は、米粒一つで数十kgの金塊が作れる。
 そして手がつけられていない発掘現場の埋蔵量を考えれば、大陸すら買える量の莫大な金を手にした事になっただろう。

「……あそこで発掘されるはずの量……実に数百kgという莫大な量の賢者の石がでてきたはずだ。それを全部使ったのか……?」
「全部、とはいいませんが、そのほとんどはつかいましたねぇ。おかげでこの街の商人の純資産を知っていますか? 洛陽の使う国家予算を上回っていますよ」
「……なんてこった」

 盾二が頭を抱えるのも無理はない。
 彼が朱里や雛里に命じた計画の数々は、彼が持ち帰るであろう膨大な賢者の石の資産力で補填される事を前提としていた。
 もちろん、それがなかったとしても達成は出来るようにはできてはいるが、その場合の計画の遅れは数十年単位となるだろう。

 絶望――そう呼んでも過言ではない表情で、盾二が項垂れる。

「それは……知らぬ事とはいえ、すみませんでした。正直、貴方の世界からの因子でできていましたので、これ幸いと研究してしまいまして……」
「…………………………」
「あー……えーと…………」

 于吉がしどろもどろで項垂れる盾二を慰めようとする。
 と――不意に、于吉が思いついた。

「あ……そういえば、あそこならまだ……」
「!?」

 于吉の言葉に、がばっと顔を上げる盾二。

「他にも賢者の石がある場所があるのか!? どこだ! どこにある!」
「ちょ、ちょっとまってください、落ち着いて……」

 乗り出すように迫る盾二に、顔を赤らめる(?)于吉。
 だが、そんな様子にも今の盾二は気付かない。

「あるにはあるのですが……さすがにあそこは、おいそれと教えるわけにはいかないのですよ」
「頼む! このとおりだ! 俺にはどうしても必要なんだ、頼む!」

 于吉の言葉に必死に頭を下げる盾二。
 だが、于吉は少し迷った挙句、ピンと閃いたように人の悪い笑みを浮かべた。

「そうですね……ほかならぬ貴方です。いいでしょう……お教えしましょう」
「本当か!?」
「ええ……そこならば賢者の石が大量に保管されています。そして……」

 コホン、と一呼吸おいて作った笑顔を見せる。
 盾二は、必死さの為かそんな表情の于吉に気付かない。

「持っていくのはかまいませんよ。ただ……」

 そう言って、冷たく笑う于吉。

「その前に……少し試させてもらいましょうか」

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