第10話「中立」
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を見渡すが、いつの間にかネギしかいなかった。
ベッドに寝ていたまき絵もいつの間にやらいなくなっている。どうやらネギが全員を教室に帰したらしい。
「いくら呼んでも返事しないからアスナさんたちはみんな心配してましたよ?」
む、漏らしたタケルは少しだけ考え込み「……後で謝っておくか」と呟いた。
「はい、そのほうがいいです」
頷いたネギだったが、すぐに険しい顔になり、「それより――」と口元に耳を寄せる。
「――タケルさんも魔法に気付いたんですね?」
と呟いた。
――魔法?
一瞬だけ首を傾げそうになったが、エヴェンジェリンが犯人ならそれも当然かもしれない。
「ああ」
「でも、一体誰が……僕とタケルさん以外で他に魔法が使える人がいるんでしょうか」
う〜ん、と唸りながら考え込むネギについ微笑んでしまう。
――俺は選択肢に入らない……か。
元々魔法が使えないのだが、ネギはタケルが魔法を使えると勘違いをしている。犯人となり得る可能性がある人物といえば現時点ではネギにはタケルしか思い浮かばないはずだ。
だが、彼の中にはタケルが犯人と疑うことが欠如している。それほど信頼しているのだろう。それは子供特有の純粋な心で、タケルには真似できない思考だ。
――少しむず痒いな。
小さな罪悪感とネギに信頼されているという少しの嬉しさから、タケルは小さく漏らした。
「すぐわかる」
「……え?」
「俺は犯人探しを手伝うわけには行かないが、お前ならすぐに見つけられるだろう。頑張れ」
ネギの頭を少しだけ撫でて保健室を出た。
なぜか、保健室からネギが出てくる様子はなかった。
その日の晩。タケルが次の日の授業の準備をしていた時だった。突如扉越しに聞こえるノック音。
「こんな時間に?」
――誰だ?
考えながらも扉を開けるとネギと神楽坂 明日菜が扉の前に立っていた。
「神楽坂さん……と、ネギ?」
だが、様子が少しおかしい。ネギがアスナにくっつき、どうやら泣いているようだ。アスナはアスナで困った顔をしてネギの頭を撫でている。
――なんだこれは?
とりあえず、部屋に入ってもらい、ベッドに座らせる。日本茶でも出そうと動き出したタケルにいきなりネギが「タケルさ〜〜ん!」と飛びついた。
「うお」
半分攻撃化したネギの体当たりをその胸に受け、ぐらついてしまう。
「助けてくださ〜〜い!!」
目を潤ませてタケルに抱きつくその姿は10歳相応の表情が垣間見えていた。
「?」
意味がわからず、アスナに助けを求めるように目をやると、彼女は頷き、口を開いた。
「……実は最
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