第10話「中立」
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変やーっ。まき絵が……まき絵がーー」
彼女の呼びかけにネギとタケルが顔を見合わせる。ネギが首を傾げて――
ガラ
――扉が開き、「何! まき絵がどうしたの!?」と窓やドアから女性徒たちが下着姿のまま廊下に姿を現した。
反射的に振り向いたネギが「わあ〜〜〜!!」と叫び
タケルが「何〜〜!?」と顔を真っ赤にさせた。
――まずい、鼻血垂れそう。
こんな場所で鼻血を垂れてしまえばそれこそ教師失格、もしくは一生スケベ教師と命名されるに違いない。
「キミら……服を着ろ」
必死に鼻を押さえるタケルだった。
保健室で3―Aの生徒達が集まっていた。最初は心配そうだったが、大したことがないとわかって、彼女たちらしく軽口をたたいて笑っている。
「……なるほど」
――これか。
まき絵を見つめながら、一人頷く。
タケルは朝のエヴァンジェリンとの一件を思い出していた。
「――騒ぎが起きてもネギに手を貸すな?」
あまりにもざっくりといわれたため、意図が良く分からずタケルが首を傾げる。エヴァンジェリンは頷いてさらに言葉を続けた。
「ああ、そろそろ私のやっていることがばれてもおかしくないからな。お前があいつに加勢すると私の計画が見事に壊れてしまう」
「……」
何一つ要領を得ないエヴェンジェリンの答えに、タケルは無表情に口を開く。
「ネギが魔法使いであることと関係しているのか?」
「当然だ」
「何をする?」
「私の力を取り戻す」
即答だった。その分、彼女の答えには力強さと確固たる意思が伝わってきた。少しだけ考える素振りをして、頷く。
「……わかった」
「そうか、助かる」
タケルとしては熟考したつもりだが、彼女には答えがわかっていたのだろうか。それくらい当然のようにエヴェンジェリンは自然にタケルの言葉を受け止めた。
「いや、昨日は世話になったしな。だが――」
「――程々に、か?」
「む」
言い当てられ、言葉をにごらせるタケルに、エヴェンジェリンは言う。
「私もお前が狩るバケモノに相当する。どういう基準でお前が標的を定めているかは知らんが、標的にされてはかなわん……今の私ではお前に殺されるだけだしな。大人しくやるさ」
「……そうか」
――大人しくやるなら、それでいい。とタケルは呟く。
どの程度『大人しく』かは、わからない。だが、エヴェンジェリンがそう無茶をやることはないだろう。
タケルは空を見上げて――「タケルさん……タケルさん!!」呼ばれて意識を目の前に向ける。
「ん、ああ。スマン考え事をしていた」
いつの間にやら深く考え込んでいたらしい。周囲
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