十三日目 十二月三日(土)前編
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「ひ、響、せん、ぱい?」
言っている事を理解しなければ、いつもの塚原響だ。だが、彼女が口にした内容は、常人が口にするものではない。
「後はお願いするわね」
「おぅ大将。任せてくれや」
響の声かけで、水色の髪をした、短髪で長身の逞しい男が現れた。引き締まった身体付きで、身体には使い込んだ感のある白いト―ガを身に纏っている。だが純一が驚愕のあまり、まじまじと見てしまったのは、男の顔だった。
「う、梅原!?」
「似てるわよね。私もびっくりした。でも別人よ。私のサーヴァント、キャスターよ」
水色の髪の梅原が、にやっとした。
「最弱なんて言われてるらしいがな、それが真実か、身を持って確認するんだなっ」
「敵陣地での勝負、分が悪いわねっ。引くわよ!」
「え、わぁっ!」
セイバーが、純一の腰に手を回して右肩に担ぎ上げ、跳躍を繰り返して海岸から離れようとする。
「甘ぇよっ、逃げれると思ってんのかっ」
公園に続く階段を駆け上がろうとしたセイバーが、突然止まった。
「っつ、これ以上進めないっ!?」
「せっかくの相手がよぉ、逃げちゃあ、つまんねぇじゃねえか」
セイバーが振り向き、キャスターを睨みつけた。不敵な笑みを返すキャスター。
「俺が許可しない限り、ここからは出られねえよ。観念して、尋常に勝負といこうや」
セイバーが抱えていた純一を降ろす。純一は心配になってセイバーを見た。だが彼女は笑っていた。セイバーが盾と剣を構え、キャスターに悠然と向かい合う。
「良い仕掛けだわ。やるわね。でも、そう簡単に倒される私では無いわよっ!」
「おもろしれぇ! そうでなくちゃなっ」
キャスターが、どこからか杖を取り出す。杖の先端には、大きくて不気味な巻貝が付いている。キャスターが何事か呟くと、青白い輝く球体が、いくつも彼の周囲に現れた。
「魔法攻撃が効くとは、思わないことね」
「へっ、何事も試してみねぇとなっ」
「無駄よ。証明してあげるわ」
セイバーが跳躍し、キャスターに猛然と突撃した。キャスターが杖を振り、光の球が、もの凄い速さでセイバーを迎え撃った。
「いざ、勝負!」
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