十三日目 十二月三日(土)前編
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的に高める特殊フィールドを作成する〈陣地作成〉のスキルを持つ。
しかしセイバー、ランサー、アーチャ―は高い〈対魔力〉のスキルを有しており、魔術的な攻撃では殆どダメージを与えられない。その為、キャスターは最弱のサーヴァント″と呼ばれている。
それでもキャスター側に対抗手段が無い訳ではない。相性を覆せる可能性の一つが、魔力を蓄えさせて作成する、陣地で戦闘を行う事なのだ。陣地内でのキャスターは、最強のサーヴァントと言っても過言では無い。その空間全てがキャスターに優位に働き、敵を不利にさせるのだ。陣地内では土地や建物、空気等全てがキャスターの味方になる。
だが陣地を作成する為には、居城と定めた場所に魔力を蓄えなければならない。それはつまり、魔力の有無を調べれば、陣地を発見する事が出来る。そして陣地が人工的に作られた物である故に、壊す事もまた不可能では無い。つまりキャスター攻略の鍵は、相手の陣地を先んじて破壊する事なのだ。
「……セイバー、そろそろ休もうよ」
両肩で息をした純一が、先頭を颯爽と歩く制服姿のセイバーに懇願した。
「軟弱者ね。まぁいいわ。あそこにちょうどベンチもある事だし、休みましょうか」
海岸沿いを〈調査〉していた二人は、海を見渡せる広場を見つけ、そこで休む事にした。
「あー疲れた。いや、結構歩いたよ」
ベンチにどかっと座り、大きく息を吐く純一。
「でも、収穫無しよ。まぁ、川沿いにはキャスターは居なそうって解ったのは、ある意味収穫だけどね」
セイバーが、スカートを抑えながらさほど疲れた様子も無く、純一の隣に座る。
「そういえば、どうして川を調べてたの?」
「魔術にとって、水は基本なの。調べた川の水に魔力が混じっていれば、それはその川沿いにキャスターの陣地があるという事よ。幸い輝日東町の川は、どれも全てこの海岸沿いに辿り着くわ。だから何か手掛かりがあるかと思ったんだけれど、中てが外れたようね」
セイバーが目を閉じ、何やら考え事を始める。
「……でも最近、妙に水の匂いが鼻に付く気がするのよね」
純一が、考え込むセイバーをちらちらと見る。
「セイバー、ちょっといいかな」
「なに?」
「聞きたい事があるんだ。……えっと、森島先輩と良く似た人って、知ってる?」
「……何でそう思ったのかしら?」
「夢を見たんだ。多分セイバーの記憶。セイバーが、ドレスを着た森島先輩みたいな人と言い争ってた」
「……そう」
セイバーの表情が、微かに曇った。
「あ、言いたくないならいいんだ」
純一が、慌てて手を振った。セイバーが、ふふっと微笑を浮かべた。でも瞳はまだ悲しみを湛えている。
「……彼女の事は思い出したくないの。でも、あなたを信頼していないわけじゃない」
海からそよ風が吹いて来る。セイバ
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