第9話「前夜」
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て降ってくるのだから、Yガンで捉えるのは簡単。だが問題はあの重量と速度。というわけ彼はYガンを連射しまくったのだ。一射目は一瞬で引きちぎられ、2射目は一秒も拘束することに成功し、3度目でついにボスを捉えた。
立ち上がり、自分のちぎれた左腕を拾う。痛みは感じない。どちらかといえば今はえぐられた腹部や、その他ズタズタにされた体中の方が痛む。麻痺しているか、それともアドレナリンのせいか。
どちらにせよ、すぐに腕にも痛みが生じることになるだろう。
「……とりあえず病院か?」
そう考えて重い足取りで歩き出したタケルに、突如鐘の音がチーンと響いた。
「!?」
いきなり聞こえてきた音にビクと体を震わせて周囲を見渡す。そこかしこが削られ、タケルの千切れた腕から滴る血があるのみで何も異変はない。
――気のせいか?
結論付けをしようとして、何気なく目をやった自分の左腕に首をかしげた。
「……何か握ってる?」
確か腕を斬り飛ばされた時にはXガンを持っていたがすぐにその銃は回収したはずだ。まだ肉体の硬直は始まっていなかったため、簡単にそれは取れた。
「……ガンツの?」
それは黒く小さな……そして確かにタケルのしらない物質で作られた球体。
「なぜだ」
呆然と黒球を覗き込み、そこに浮かび上がっていた文字に息を呑む。
『やまと 75点 ?????』
「……」
文字は自然とスクロールされ、次から次へ移り変わる。
『メニュー 武器転送 ????』
『ミッションメニュー やまと転送 ??』
『100点メニュー 1、なし 2、最後武器 3、なし ???』
『ま がむばってくだちい ?』
『爆弾はなくなったようだ。たららららったったあ』
ブンと音をたてて画面が消え去った。
「……」
あまりのことに声すら出ない。
「……」
整理する必要がある。
「……」
だが、何かを考える前にタケルは呟いていた。
「ガンツ、俺を寮に転送してくれ」
数秒間の沈黙が続き、だが、確かに転送が始まり、タケルの意識は遠のき、気付けば彼が住んでいる寮に。
腕も体も元に戻り、武器一式も床に散らばっている。夢だと思いたいのか、自分の頬を引っ張ったりつねったり。
「……」
そして、彼は決心した。
「……理解は無理だな。寝るか」
服を脱いでそのままベッドにダイブ。数秒後には寝息を立て始める。
……随分とたくましいタケルだった。
エヴェンジェリンは眉をひそめていた。
竜種を何らかの能力で捕らえたタケルはその後、竜を消しさり、果てには彼自身までが消え去ったのだ。
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