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とあるβテスター、奮闘する
つぐない
とあるβテスター、恩人になる
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ちたようにすっきりとした表情で、ようやく笑顔を見せてくれた。
さっきまでのような震えもない、溌剌とした声。恐らくは、これが彼女本来の性格なんだろう。

「落ち着いたのならよかった。とにかく、君が無事で何よりだよ」
「……はい。えっと、ユノさん……」
「ん?」
「っ……!あの、えっとですね……その…あの……」
と、思っていた矢先に。
僕が話しかけると、彼女は途端に口ごもってしまった。
泣き腫らしたためか、目元どころか頬まで赤らんだ顔で、何やらもごもごと言葉を濁している。
……ひょっとして僕、何か嫌われるようなことを言ってしまったんだろうか。

いや、まあ。
確かに、僕はどちらかといえば口下手なほうだし、お世辞にも人に好かれる性格とは言い難いけれど。
だからといって、初対面の相手にまでこういった反応をされると……結構、きついものがあるなあ。

「……その、僕はそろそろ───」
「あのっ!ユノさん!」
「ひゃいっ!?ど、どうしたのかな!?」
何となく気まずくなってしまい、そそくさとこの場を立ち去ろうと思った、その時。
突然大声で名前を呼んできたルシェに驚いてしまい、僕は素っ頓狂な声を出してしまった。

「よかったら、今度『はじまりの街』に来てくれませんか!?今日のお礼とか、ちゃんとしたいので!」
「え……」
次に彼女の口から出たのは、僕が予想だにしていなかった言葉だった。

「お礼……」
「そうです!」
えーっと……。
彼女の様子から見るに、お礼参りとかいうわけではなく、そのままの意味なんだろうということはわかったけれど。
でも、僕は偶然通りかかっただけだし……改めてお礼なんて言われると、少し気恥ずかしいというか、なんというか。

「えっと……お礼目的で助けたわけじゃないから、そういうのは大丈夫だよ?」
「だめですよ、そんなの!ユノさんは命の恩人なんですから!」
「だから、そういうのは───」
「あたし、狩りに行ってない時は、大体『はじまりの街』にいますからっ!ユノさんが会いにきてくれるの、待ってます!」
「あ、ちょっと───」
「それじゃあ、あたしはこれで!本当にありがとうございました!」
「待って、って………」
言うだけ言って。
ルシェは僕の返事も待たずに猛ダッシュで転移門まで近付くと、そのまま別のフロアへと移動してしまった。
彼女の入っているギルドは未だに『はじまりの街』で寝泊りしていると言っていたので、恐らくは第1層に戻ったのだろう。
……結局、断る暇もなかった。

「……まあ、一度くらいなら」
いいかな、と一人呟き、自分も転移門の前に立つ。
シェイリの待つ第18層主街区の名前を告げると、身体が青い光に包まれ、次第に視界が青一色で覆われていく。

───そういえ
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