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とあるβテスター、奮闘する
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ことすらできずにいた。
どうしても、至近距離での敵の動きに対応することができなかった。

思えば、前提条件から間違っていたのかもしれない。
魔法が存在せず、剣で戦うことが主軸である以上、近接戦闘が主体となるのは当たり前だ。
僕のような至近距離での攻防に対応できないような人間には、このゲームは向いていないといっていいだろう。
実際、僕も一人で試行錯誤を繰り返したものの、どうしても上手くいかず───1度は、プレイを断念しかけた。

……だけど、そんなある日。
半ば諦めながらも、どうせ辞めるなら最後に色々な武器を試してみようと、『はじまりの街』の武器屋を巡っていた僕は───そこで、投剣の存在を知った。
投擲用の武器を消費するというデメリットはあるものの、SAOで唯一の遠距離攻撃スキルを使える武器。
近接戦闘がダメな僕でも、遠距離からの攻撃なら。そんなことを思い、僕は駄目元で投剣使いに転向した。

それが、僕こと《投刃のユノ》のルーツだ。
もっとも。まさか自分がそんな呼び方をされる(それも悪い意味で)ことになるなんて、当時は夢にも思っていなかったけれど。

閑話休題。

僕は投剣スキルの威力をブーストするために、一度の投擲に最大四本のナイフを使う。
四本のナイフを“ひとつの武器”としてシステムに認識させることで、投剣スキルの威力を底上げする───言ってしまえば、システムの裏をかいた戦い方だ。
それぞれの軌道を一箇所に当たるよう制御するのはなかなかに骨が折れるけれど、そのお陰で、僕は通常の四倍───とまではいかずとも、最前線で戦っていける程度には十分な威力を持たせることができるようになった。

……と、そこまではいいのだけれど。
この方法によって威力が上がった代わりに、武器の残弾数との兼ね合いが非常にシビアなものとなってしまった。

投剣スキルはその性質上、手数が増えれば増えるほど、残弾数の消耗は早くなる。
そしてなんとも相性の悪いことに、SAOのソードスキルは基本的に、上位スキルになればなるほど手数が増えていくものがほとんどだったりする。

例えば、現在僕が使える中で最も威力の高いソードスキル《フォース・テンペスト》は、投剣による四連撃スキルだ。
当然のことながら、残弾を消費するという仕様はソードスキルにおいても適応される。
したがって、通常、このスキルを発動させるには最低でも四本のナイフが必要となる。

ちなみに、『四連撃の場合、次のナイフはどこから持ってくるのか』ということをよく聞かれるのだけれど、投剣の連撃スキルの場合、武器が手を離れたと判定され次第、次弾をストレージから自動でオブジェクト化させてくれる仕組みになっている。
僕の四本のナイフも“ひとつの武器”としてシステムに認識されているため、連
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