つぐない
とあるβテスター、恩人になる
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こととなる。
そうなった場合───あの時のような持久戦を強いられれば、僕はパーティのお荷物になる可能性が非常に高い。
投剣はSAOで唯一遠距離攻撃が可能というメリットがある一方で、スキルの威力そのものは他の近接武器に一歩劣り、また、武器のストックが尽きればスキルを発動させることすらできなくなってしまう。
そのため、SAOでは投剣は補助武装程度にしか使われていない。投剣スキル一撃で仕留められる敵は少ないし、長期戦になるなら尚更、残弾数を気にする必要のない武器を使ったほうがいいからだ。
……だけど、困ったことに。
βテストに当選し、初めてSAOにログインした僕は、自分がこのゲームをプレイすることにおいて、致命的ともいえる欠点があることに気が付いてしまった。
そう───僕には、致命的なまでに近接戦闘の才能がなかった。
SAOのβテスト開始日、僕は初めての戦闘であっけなく死んだ。
死因は単純明快。至近距離で動き回ってくる敵に対して、どう対処すればいいのかわからなかったからだ。
普通、新規サービスのMMORPGは、死んでコツを覚えていくのが常識となっている。
新規のゲームである以上、参加しているプレイヤーの全員が右も左もわからない初心者《ニュービー》だ。当然、攻略法なんてものが存在するはずもない。
したがって、誰もが最低限のマニュアル以外の情報を持たないまま手探りで情報を集め、死んで覚えてを繰り返しながら、自分なりのコツを見つけていくことになる。
そうして、それらの情報を不特定多数のユーザーが共有化することによって、徐々に攻略の基盤が出来上がっていくというわけだ。
例えば、真正面から武器を垂直に振り下ろされた時。
プレイヤーが取るべき選択肢は、『武器で受け止める、もしくは受け流す』『反射的に回避する』『防御に専念する』といったところだろう。
いずれかの方法で攻撃に対処した後、隙を見てソードスキルで反撃に出る───というのが、SAOにおける戦闘のセオリーだ。
βテスト開始直後は、誰もがどう戦えばいいのかわからず、最弱クラスのモンスター相手に次々と倒されていった。
当初はソードスキルを発動させることすらままならないプレイヤーだらけで、戦い方を知っている人間が誰一人としていなかったからだ。
だけど、彼らは死んでは復活し、また戦いを挑むといったことを繰り返していくうちに、次第に『どう戦えばより効率的か』ということに気が付いていく。
時に武器で受け止め、時に防御し、反撃の機会を伺って一気に倒す。そうしたセオリーを、誰もが戦いながら自分の身体に刻み込んでいった。
他のプレイヤーたちが瞬く間にコツを掴み、それぞれ思い思いの場所へと拠点を移していく……そんな中。
僕だけは、いつまで経っても『はじまりの街』周辺の敵を倒す
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