鬼教官と呼ばないで 2
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ようです。 あぁ、意見はちゃんと聞きますよ。 なんたって【鬼教官】ではありませんから。
「? もう走れないと?」
「ええまぁ……」
「大丈夫、走れますよ。 ほら、すでに三人走り出した方がいますよ?」
「あ、彼らは数少ないへばってなかった人たちなので……」
「大丈夫いけますよ」ニコッ
「はぁ、そう言っていただけるのは嬉しいのですが……」
「全然大丈夫ですよ。 まだまだ行けますよね」ニコッ
「いえ、ですから……」
「行けますよ」ニコッ
「だかr「行けますよ」ニコッ……」
「行けますよ」ニコッ ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!!
「……い、行けます!!!!」
素晴らしい敬礼と共に走り出してくれました。 うんうん、わかってくれたようですね。
え? 私の後ろに、強面の筋肉隆々な仁王らしき男性が見えた? ははは、なんの冗談です? ほら、そっちの人は別にそんなものは見えてないとおっしゃっているじゃないですか。 え? 龍? はいはい、十四歳病はとっくに過ぎ去っていいと思いますよぉ。
では、私は新人たちを見守るというお仕事がありますのでこのへんで。
◇◆◇◆◇
アモス中将の背後になんとも言い難い、強烈なプレッシャーを感じ、気がつけば逃げる用に走り出してしまっていた。 アモス中将は終始笑顔であった。 何も問題ない、いつも見かけるアモス中将と一切変わりのない綺麗な笑顔であったのに、そこに含まれるプレッシャーは質が違った。
まさに【鬼】
アモス中将は、ただ笑顔。 大事だからもう一回言おう。 ”ただ笑顔”。
知り合いのマリリン曹長が言っていた、『笑顔は時に恐怖となり得る』という言葉は、このことだったのか……。
そのあとも、事あるごとに立ち止まり、『もう走れない』とのたまう新兵たちに、
「まだいける」
「『もう限界です』? その言葉が出てから、後20kmは走れるよ」
「あ、(ばびゅん)……そっちはコースを外れるよ。 こっちだから」
と、逃亡すら一瞬で連れ戻される始末。 しかも、どれも怒鳴り散らすわけでもなく、ただ笑顔。
知り合いのシー准尉たち、プログラム経験組が呪文のように唱える『アモス中将は、ただ笑顔』という呪文(この呪文を唱えると、大抵の海賊がただの雑魚に思えるようになるらしい)の意味が分かりたくもないけど分かってしまった気がする。
だめだ、逃げられない。 どうあがいても、この走り込みを終わらせなければいけないようだ……。 皆さん、最後に一言だけ言っておきたい。
アモス中将は、ただ笑顔……。
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