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真鉄のその艦、日の本に
第九話  叛乱への反旗
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大太刀で横薙ぎに払った。避けようとしても無駄。幸せ草によって強化された人間ですらそうそう捉える事のできないほどの速い動きだった。これが瀧の本気である。そしてこの大太刀は致命傷を与える必要はない。かすりでもすればそのまま死に至るのだ。生傷をその場で修復するほどの強化人間特有の回復力、生命力も意味がない。とりあえず致命傷だけは避けるようガードする、という事も無駄である。

しかし、徳富は、瀧の予想に反して、その剣撃を"避けよう"としなかった。その中背の体に、大太刀を受け止めた。しっかりとした手応え。瀧の四角い顔に、返り血が飛び散る。
そして返り血と一緒に、徳富の持つ脇差の切先がその顔に飛んできた。
身を翻し飛び退いて瀧はそれを避けるが、頬にそれは擦り、肌に血が走る。予想外の行動に、少し反応が遅れてしまった。

大太刀をその胴にまともに食らった徳富は体を血に染め、地に手と膝をつき、むせこんで口から血を大量に吐き出した。体に大きな裂傷が出来ていた。しかしその裂傷は、みるみるうちに塞がっていく。

何、呪禁道が効かないか…それに捨て身の攻撃かと思ったが、よく考えれば相手の脇差が届かない間合いで斬ったのに、どうして自分の顔まで脇差が伸びてきたのか…

首を傾げ訝しむ瀧。荒い息を整えながら、立ち上がる徳富。瀧はその体から、消し炭のような欠片がパラパラと落ちたのを見て、ふん、と鼻を鳴らした。


「斬られた部分の細胞を切り離して、呪いの侵食を防いだな。そして回復が異様に速い。お前が目覚めさせた能力とはそれか。」
「よく…分かってるじゃないですかっ…」


これは、それなりに厄介な相手かも知れないな。瀧はその実直な顔を引き締め、大太刀を構える。徳富は、肩で息をして、口元を血で汚しながらくりくりとした眼を真っ赤に充血させて瀧を睨み、脇差を構える。


「哀れな小娘。攻撃が効かないというだけでは、俺に勝てないのに。」
「余計な……お世話ですっ……!!」

もう一度、両者は対峙した。


――――――――――――――――



機関室には、エンジンの音が響く。多くの計器、コンソール、機器やそれらをつなぐダクトに囲まれて、長岡と遠沢は艦内図を広げていた。
今建御雷は、発令所で全ての艦機能をコントロールしている状態で、各所の見張りも監視カメラ頼みである。この機関室はエンジンなどの影が大きく監視カメラの死角が多い。そして、出港直前に整備をスムーズに行う為のハッチを増設した部分があった。これは曹士以下が勝手に換気用ダクトを改造したもので、幹部達の殆どはこれを知らない。知っているのは、たまたまその場を通りかかった長岡だけで、その時曹士の代表である先任伍長に勝手な改造を口止めされた。他のハッチを開くと、隔壁の開閉が発令所の艦内コント
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