第九話 叛乱への反旗
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あの営倉から連れ出してくれたのは目の前のこの小娘だ。津村を手当てして、艦から逃がそうとしたのはこの小娘だ。自分の常識は信じられなくなったかもしれないが、しかし自分の勘はまだ信用できる。遠沢は嘘をついていない。遠沢は味方だ。
「で、そいつらをぶっ倒すにはどうすればええんだ?」
「そうですね…幹部の殆どは潜入型で、一般人と見分けがつかないのが特徴です。つまり普通の人間と同じです。…普通の人間の身体能力の範囲の最高値まで強化されてはいますけど。」
「て事は」
「凄く強いです。全員、海兵隊並の白兵戦能力があります。」
長岡は体から力が抜けた。発令所要員がほぼ全員、敵として、その人数は三十人程度。海兵隊三十人相手にするのに、こちらは海軍軍人(佐官なので、ただのオッサンという事だ)と、東機関の工作員だったとはいえ小柄な女が1人だ。勝てる訳がないではないか。
「そして厄介なのが、少し紛れ込んでいる、体に機械的改造を施してある者です。こういったのは、パワーも頑丈さも人間の域じゃないので、殺すのも容易じゃありません。」
「…………」
勢いで本木達に立ち向かう事を決めたが、頭が冷えてくると、これは本当に勝ち目がない戦いだ。自分達だけではどうにもできないのではないか。
長岡には、本木達に対してできる抵抗は一つしか思いつかなかった。
目の前で唸りを上げているエンジンをぶっ壊しての、建御雷の自沈。
今からでも容易にできる、それでいて連中に建御雷を使わせない、唯一の手だ。
勿論、自分と遠沢も死ぬ。
ごくっと、長岡は唾を飲み下した。死んだら、どうなるんだろうか。
「でも、できる事はあります。彼らの殆どが発令所から動く事ができません。艦内見張りに割ける人間はそう居ないはずです。」
どうやら遠沢は、自爆する気は無いらしい。それを聞いて、長岡は少しホッとした。いつも冷たい顔をした奴で、さっき脱出艇のプラットフォームで怒らせるまでは、どこか冷徹な印象もあった。1人残って自分諸共艦を沈める気だったとしてもおかしくはないと思っていたが、どうやら別の勝算があって艦に残ったらしい。
「彼らに持たせておくのが危険なのは、やはり荷電粒子重砲です。艦首の荷電粒子重砲の管制室に行って、そこのコンソールを壊せば、とりあえず荷電粒子重砲の使用は止められます。あの部屋はCICほどには堅牢には作られてないし、つけいる隙はあると思います。」
そうか、あの部屋か。長岡は、長らく忘れていた(記憶から抹消されていた)荷電粒子重砲の管制室を思い起こす。あそこまで、この機関室から行けば良いんだな。艦内通路の全てに監視カメラがある訳じゃない。監視カメラの無い通路を通りつつ、艦内を巡回してるであろう数人の敵をやり過ごす事ができれば
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