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真鉄のその艦、日の本に
第八話 人でなし
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秘密〜。じゃ、挨拶は済ましたし、仕事に行くか、徳冨」
「はーい」


適当に前線指揮官をあしらい、2人して、前線指揮所のテントを出て行く。前線指揮官は、きつねにつままれたような顔をして、きょとんとするほか無かった。




―――――――――――――――――――




「さて、と」


テントから出た古本は、ここまで乗ってきた車に戻り、荷台から商売道具を持ち出す。
大型の対物ライフル。解体された状態で入っているケースを開き、手際良く組み立てる。

向こうに見えるバリケードでは、群衆の勢いが増してきている。近衛師団の兵士達が押されに押され、防衛線が突破されかけている。


「よっしゃ」


完成した対物ライフルを、古本はひょい、と右手で持ち上げる。普通片手で持てるようなものではない。華奢な男だが、存外に強靭なようである。


「まずは景気付けに一発いくか〜」


古本が、右手の人差し指を引き絞り、引き金を引いた。

ダンッッ!!

大きな音を立て、徹甲弾が銃口から飛び立った。その徹甲弾は、近衛師団と群衆の衝突点ではなく、明後日の方向に放たれた。

しかし、その弾頭は、途中で大きくカーブを描いた。カーブを描きながら、弾頭が急降下する。

そして、群衆と近衛師団のちょうど衝突点にあたるポイントを。

横薙ぎに払った。狩りをする猛禽類のように降下し、人の体の高さを、高速で滑空する。

目の前の近衛師団の兵士に牙を剥いていた群衆が、脇から徹甲弾に貫かれた。戦車の装甲用の徹甲弾は、人の肉など紙切れ同然に次々と突き破っていく。彼らは状況を知る事もなく、目の前の兵士に悪態をつき、怒鳴り声をあげるそのままの姿勢で体に大穴を開けられ、首を跳ね飛ばされていく。

古本の放った一発の徹甲弾は、群衆の中を縦横無尽に方向を変えて暴れまわった。ヘルメットを被っていた一人の民衆の頭蓋骨に締めとばかりに突き刺さって、やっとその一発目が止まった。

一瞬、場の時間が止まった。群衆は、あっという間に最前線に居た数十人が血を吹き出してズタズタになり倒れ伏した事に呆気にとられ、近衛師団の兵士達も、その凄惨な光景にしばし固まる。

そして、怒号で満ちていた衝突点に、一転して悲鳴が溢れる。あれほどまでに近衛師団に対して攻め込んでいた群衆が、あっさりと踵を返して逃げ惑い始めた。途中で蹴つまづいたような人間を容赦無く踏みつけながら、群衆は逆方向に走っていく。一気に圧力から解放された近衛師団のバリケード部隊はしかし、事の次第が理解できずに呆然とする他なかった。


弾を放った古本本人は、頭を抱えていた。


「あちゃ〜。最後メットなんかに当てなきゃあ、あと10人は殺れたんだけどなぁ〜。」
「相変
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