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真鉄のその艦、日の本に
第八話 人でなし
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は東京上空に向かっています。反乱軍と連携して、東京を、日本を占拠するつもりです。」



長岡は、言葉が出なかった。何度か口をパクパクさせる。幹部が?反乱?裏切りだと?
一年間一緒に研修を受けてきたあいつらが?
二神島では命を賭けて戦っていたあいつらが?
何を言ってんだ、この小娘は。



「何を…言っとんだ。そんなの、お前から言われたって信じられる訳ないだろうが。」
「目の前の津村中尉のこの状態を見ても、信じられませんか?総員退艦令で曹士以下を欺いて排除して、幹部だけで動かしているこの艦の姿を見ても?」



遠沢の言う通り、艦内には誰も居なかった。恐らく、発令所だけで艦を運用するモードに切り替わっているだろう。そして、そのモードで艦を動かせるのは、幹部だけだ。しかも飛空戦艦だ。素人が動かせるモノでは無い。



「この艦の幹部達はずっとこの日の為に行動してきたんです。二神島海域で、中共艦隊と遭遇し、それを殲滅するのも、彼らの計画通りなんです。恐らくあれをきっかけに、中共の戦力が反政府ゲリラの蜂起を後押しする形で動いてる。仕組まれていたんですよ、全て。」

「あぁ?中共艦隊を殲滅したのは、この艦の暴走だろ?そんな突発的な事まで想定に入れていたってのか?」

「中共艦隊を消し去ったのは、荷電粒子重砲という兵器です。暴走なんかじゃありません。その存在を知らないのは、艦長と副長だけなんです。実際には、記憶を操作されたんですけど。」



長岡はますます訳が分からなくなる。荷電粒子重砲?建御雷の運用マニュアルは相当な時間をかけて読み込んだが、そんな単語見た事も聞いた事もない。記憶をいくら遡っても、全く心当たりがない。記憶を操作?バカか、できる訳ないだろうがや、そんな便利な事。そんな事ができるようになっとったら、世の中めちゃくちゃになっとる。


「幹部達の中に、記憶操作の能力を持った者が居ます。そもそも、彼らは海軍軍人ですらありません。記憶操作と、コンピュータハッキングによる身分偽造、それによってこの建御雷に幹部として侵入したんです。それも、一年以上前の研修の段階から。」


長岡は背筋がゾッとする。遠沢の話の内容に、ではない。こんな荒唐無稽な話を、表情一つ変えず、大真面目に語ってくる遠沢にゾッとする。そして、その話を信じかかっている自分にもゾッとした。自分の記憶を信じきれなくなってる自分に。
そこで、長岡はハッと気づいた。


「じゃっ、じゃあ本木はどうなるんだ!?俺はあいつと防大の同期だっ同じ野球部だったんだぞっ!同じ砲雷科だっ!それも全部嘘だってお前は言えるんかや!」


これまで淡々とした口ぶりで語ってきた遠沢の表情に、僅かに躊躇いの色が浮かんだ。長岡はそれを、反論できずに言
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