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真鉄のその艦、日の本に
第七話 蜂起
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人民の支持を得た共産党が国民党を駆逐し、この巨大な共産主義国家を生み出した。対独戦で疲弊したソ連を潰したもののまた新たな敵対する大国を生んでしまったのはアメリカの失策であろう。それだけアメリカは共産党と、中国人民の力を見くびっていた。

北京某所、厳重な警備が成されたシェルターの一室に、その中央政治局常務委員が集められていた。滅多に無いことだ。そこで話し合われるのはやはり、二神島近海での、日中両軍の衝突についてである。
この事件で、人民解放軍海軍東海第三艦隊が「消滅」した。跡形も残らず消え去った。衛生からの映像ではそのようにしか見えない。勿論生存者などは0である。飛空艦一隻に、艦隊一つを見事に消し去られた。


「張司令の独断専攻による出撃だった、という事で良いな?」


常務委員7人の頂点は、共産党総書記と軍事委員会主席を掛け持ちしている周共和国主席だ。この会議を取り仕切る。


「はい、張には出撃直前に、日本人と接触していた節があります。この日本人とは、日本内のゲリラで、抗米統一戦線の日本支部の者である事が濃厚です。日本のゲリラは我が共和国を日本の内戦に巻き込もうとした、そして反日過激派の張はそれを満更でもなく了承した、というのが事の顛末のようですが」


答えたのは中共の諜報を担う敵偵処の責任者、
公安部長の孟である。


「失ったのはほぼ旧式艦のみのロートル艦隊と、個人の感情で艦隊を動かすような無能な指揮官か。スクラップにする手間が省けたみたいだな。」


常務委員のNo.2、国務院総理の李のこの発言に噛み付いたのは、No.4の中軍委副主席と政協主席を担う劉である。


「まさか李同志、この件に対して日本側に何もせずに済ますつもりではないでしょうな。例え日本のゲリラ共の思惑通りになってしまうとはいえ、多数の人民を殺され、旧式とはいえ艦隊一つを葬られたのは事実ですぞ。ここで何もしなければ我が人民共和国の沽券に関わる。日本に舐められます。」

「勿論、外交的圧力はかけるし、この件について日本から【誠意】を見せてもらおうとはするさ。しかし武力での報復は辞めた方が良い。相手は艦隊一つを一瞬で消し去る事のできる大量破壊兵器を持った飛空艦と、数はそう多くは無いがイージス艦隊も持つ日本海軍だ。安易に武力に訴えると、旧式の艦隊一つどころではない被害が出る。こちらも張一人の独断専攻という事であの老人一人に責任を着せ、日本には艦隊全滅の結果に対し経済面できるならば領海の面で譲歩を迫る。無駄なモノだけを犠牲にして、利を得る事ができるではないか。心配するな。向こうは呑むよ。我が共和国と正面切ってぶつかって無事でいられるとはまさか思ってないだろうからな。向こうだって戦争には持ち込みたくないはずなんだ。」

「いえ、これ
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