第六話 反撃
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、砲口に光球ができていた。
スクリーンの、建御雷のマーカーの傍に、数字が出てくる。五、四、三、二、一…そして最後に、建御雷のマーカーにオーバーラップして「発射」この文字が表示された。
刹那、建御雷の二つの「口」が、膨大な光のうねりを吐き出した。その光は凄まじい早さで、
数十キロ先の中共艦隊が浮かぶ海へと達した。
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「司令、現在日本の領海に入ってますが…」
渋い顔をしている「福建」の艦長に、張はフンと鼻を鳴らした。
「撃ってこん。奴は撃ってこんよ。さっきもヘリを撃墜せずに、ミサイルを迎撃しようとした。迷いがある証拠だ。戦う事への。」
「しかしそのヘリ部隊は先ほど撃墜されたのです。相手もその迷いを改めたのでは…」
「小日本が我々人民解放軍に正面切って戦えるはずがなかろうが」
性能では明らかに相手の方が上、それは全弾発射の攻撃でも、命中は一発だけだった事ではっきりと分かる。建御雷は直撃弾を食らってもまだ墜ちない。それを心配している艦長の不安を、張は跳ね除けた。
合理的判断ではない、それは老人の妄執である。
「尖閣事変の借り、今こそ…」
その呟きは、突如襲った衝撃にかき消された。
――――――――――――――――
うねる光の渦が、凄まじい熱量を持って中共艦隊を呑み込み、焼き尽くす。装甲は溶け、弾薬は誘爆し、艦が弾けて砕ける。
そこに居る人間たちも皆、細胞の一つ一つをその渦に灼かれ、熱さなどそんなものを感じる間もなく、一瞬のうちに消滅していった。
――――――――――――――――――
「何なんだ、あれは………?」
二神島東側海岸で、建御雷の収容を待つ機甲部隊は、目の前で行われている事に釘付けになっていた。建御雷から、光の渦が放射された。
その渦は水平線の向こうに達し、その水平線の向こうで大きな大きな水柱が立ちのぼった。
遅れて、轟音が響いてくる。地を揺るがすような音だった。
<……有田隊長、あれを…>
「うん?」
二神島の西側が、爆発を起こしていた。一つ、二つ、三つ…たちのぼる火柱の数は増えていき、今度は直接地面が揺れる。何度も何度も爆発が起こる。
「やった…山犬が遂に…」
それは予定されていたように、統一戦線の基地が爆破されたという証拠であった。
有田はホッと胸をなでおろす。とりあえず任務は遂行できた。作戦目的は達成した。
<あ!遠沢だ!>
ちょうどその時、遠沢が森の中から東海岸へと姿を現した。手いっぱいに、楕円形のプレートが付いたネックレスを握り、確かな足取りで歩いてくる。
有田を始め、機甲部隊がすぐさま自機のコクピットから飛び出して、
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