第六話 反撃
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く見開かれ、シートベルトを外すような仕草をしているのが見える。逃げようと言うのだろうか。空に逃げ場などないのに。津村は操縦桿のボタンを押し込んだ。
雷電改の機首バルカンが火を噴く。敵ヘリのコクピットガラスにヒビがいくつも入り、血の赤が飛び散って付着しコクピットの中が見えなくなった。
――――――――――――――――
「中共艦隊ヘリ部隊、全機の撃墜を確認!津村機が1機のみでやりました!他の航空隊機は動いてません!」
レーダー手の山本が言ったように、CICスクリーンに映る海域俯瞰図からは、中共ヘリ部隊の小さなマーカーが全て消え、津村の雷電改のマーカーだけがその空域に残る。
「何をしているかッ!!津村中尉ッ!攻撃命令など出しとらんぞ貴様ァ!!」
田中は、通信手席の風呂元からヘッドセットを奪い、口角泡を飛ばして怒鳴っていた。
長岡は、冷ややかな目でそれを見つめる。
建御雷は被弾した。が、幸いにも機関部には影響なく、弾薬庫への誘爆も防げ、武装系統にも問題はない。艦として致命傷にはならなかった。しかし、それでも被害は小さかったとは言えない。数十人が死傷した。
最初からヘリ部隊を潰していれば、この噴進弾も避けられていたものを…長岡は唇を噛みしめる。
「好機です、艦長…」
砲雷長の本木が、田中に言った。
田中はヘッドセットを風呂元に返して、そちらを見る。
「今なら、敵巡洋艦からの噴進弾攻撃は来ません。敵艦隊の射撃電探の射程外です。ヘリの支援が無い以上、敵艦隊はこちらに噴進弾を撃てません。しかし、こちらの射撃電探は敵艦隊を捉えています。今撃てば、一方的に敵艦隊を攻撃できます。」
「"敵W?中共艦隊がいつ"敵'になった?我々の敵は統一戦線、それだけだ」
田中のこの一言に、長岡は、腹の底から何か熱いものがこみ上げてくるのを感じた。それがそのまま、口を突いて出た。
「あんたは、こん状況なってもまだそげん事を言うんですか!?部下が死んでるんですよ!?」
艦長の田中に対して怒鳴った副長・長岡に、CICの皆の視線が集まる。
「そもそも、最初から、中共艦隊は展開した時からこちらを敵として見てるんです!だからあんなに簡単に戦闘機を墜とせるし、40発もミサイルをぶっ放せるんだ!こちらが敵じゃない、戦う気がないとか言ったって、奴らは聞いちゃくれないんです!こちらが撃たなきゃ相手に撃たれる、殺さなきゃ自分が殺される!それをいい加減受け入れないと、我々は我々を守れませんよ!!」
田中の目も、くわっと見開く。
「バカモン!だからこそ撃ち返してはならんのだ!奴らは戦争をしたがっている。この流れに乗って、撃ち返して、それで日中間の本格的な武力衝突に至ったらどうする?それこそ奴らの思う
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