第五話 蹂躙
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建御雷の装甲に、中共艦隊のミサイルが突き刺さる。それは装甲に亀裂を生み、そして爆発する。
広がる炎、爆風、破片。
それらが対艦ミサイルが命中した部署に居た乗組員に襲いかかる。
体が弾け飛び、燃えて灼かれる。悲鳴を上げる間もなく死んでいく。体に火がついた曹士は、声にならない悲鳴を上げてのたうち回った。
「助けてくれっ!だずげでぇぇぁあああああああ」
破片を喉にもらって血だまりを作りながらピクピクと痙攣している者、人の形すら保てずにそこらに物の破片と共に転がっているもの、その死に方はそれぞれだ。
「被害報告!各所被害を報告せよ!」
CICで、強く打ち付けた頭をさすりながら田中が起き上がり、艦内放送で指示を送る。
<艦左舷、第三甲板、居住区を中心に火災発生!!>
<対抗電子機器沈黙!>
<チャフ弾庫に損害!>
<死者傷者多数!救援を!救援…>
各所から、まるで悲鳴のような報告がCICに入ってくる。長岡は目が回るような感覚がした。頭を打ったからではない。こんな事態は想像できなかった。想像していなければならなかったはずだが、自分の想像力が足らなかった。被弾。自分の艦の乗組員が死んでいく。この装甲の厚いCICに篭る事を許されない、下っぱ、下っぱの曹士達が体を千切られ、燃やされ、吹き飛ばされて死んでいく。自分達幹部の責任である。
「弾薬庫閉鎖!消化班、火災鎮火にあたれ。負傷者は救護室へ、重症者を優先させろ」
田中からの指示で、消化担当の曹士達が耐熱服を着込みホースを抱えて被弾した箇所に向かう。
「◯×△□◎!!$÷8#9#8*→☆!!」
訳の分からない声を上げながら、ひたすら床に伏せった仲間を揺さぶり続けている曹士が居た。救護班の曹士が、そこに駆け寄る。
「どうした!?ここも火災が来るかもしれん、早く退避するんだ!」
「?×===\*4(」54×々!〆々〒=3々?2!!」
喚く曹士が揺さぶっていた仲間は、腹部から大量に血を流して事きれていた。顔が火傷でただれている。そして、喚いてる曹士自身は、救護班の曹士の言う事が聞こえていない。恐らく衝撃で鼓膜が破れたのだろう、だから自分自身の声も上手く発音できていない。
救護班の曹士は、床に伏せった遺体にすがりつく曹士を引きはがして連れて行く。
「ちくしょう…ちくしょう…何でこんな目に……くそったれ…中共めぇ…」
救護班の曹士の目には涙と、そして怒りと憎しみの色が浮かんでいた。
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「「「お前達がここに居るおかげで、建御雷は二神島近海から退く事もできない。仲間を見捨てて、尻尾を巻いて逃げ出せるような艦長ではあるまい。建御雷は追い詰められる」」」
和気は
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